先週、東京都心の最高気温が35度を上回り、やれ真夏日だの猛暑日だのとニュースで騒いでいた日の夜、ついに我が家のエアコンが発狂し、反乱をおこしました。夕方ごろになぜかどう設定しても暖房モードに切り替わるようになってしまったのです。

原因はなんとなくわかっています。今年になってから、僕は自分の部屋のスマートホーム化を目指すようになりました。スマートホームと言ってもピンとこない人が多いでしょうが、いわゆるIoTというやつですね。テレビ、照明、エアコン、カーテン、あらゆるもののリモコンが増えた現代、それらをスマホ一つでコントロールしようというわけです。

僕も机の上にリモコンが4つか5つあったので、これらを全部Wi-Fi、Bluetooth、赤外線リモコンでスッキリと一元化しました。AlexaやSiriに「おはよう」「行ってきます」「おやすみ」などと語りかけるだけで、様々な家電が自動で操作できるのです。

2024年の段階で、実用化できているのはSwitchBotの製品がトップランナーと言ってもいいでしょう。それとAmazonのAlexa Echoを組み合わせることにしました。Apple社は早くからスマートホーム化を提唱してきた割には、ちっとも家電との連携が進みませんでした。iPhoneの「ホーム」アプリなど、何に使えるの?という疑問を持たれた方も多いと思います。

とにかく新しい物好きな僕としては、いち早くSwitchBot社のオートロックに飛びつきました。ドアを開け閉めするだけで、自動的にウイーンとサムターンを回し、施錠してくれます。鍵をもって出かけなくても、指紋認証、暗証番号、NFCカードキーなどでピッと解錠できます。それと防犯カメラ付きドアベルのおかげで、我が家のセキュリティはぐっと高まりました。

そのへんでやめておけば良かったのです。引っ越したばかりで部屋のリノベーションに興味津々だった僕は、まず部屋のあらゆる照明器具とテレビのリモコンを、IoTにプラスしました。さらにエアコンとカーテンも連動させました。毎日、気象庁発表の日の出の時刻にカーテンが開き、日没の時刻に正確にカーテンが閉まるのです。

カーテンの自動開閉は、なかなか感動ものです。ウイーンとかすかなモーター音がして、近未来感があります。カーテンくらい自分で閉めればいいじゃないか、とお思いでしょうが、寝る前にあ、キッチンの照明消すの忘れてた、と思っても「おやすみ」の一言で消える。となりの部屋にスイッチを切りに行くのも面倒くさい僕には、ロボットに乗っ取られた感覚がなかなか楽しい。

しかしエアコンがくせ者でした。2009年製の三菱ビーバー君は15年選手。あとでエアコン工事の人に教えてもらったのですが、エアコンというのはあまり頻繁に入れたり消したり、というのが良くないのだと。エアコンの中にもサーモスタットが入っていて、自分で気温と湿度その他の条件を加味しながら調整するのだそうです。それも26度とか27度とか、1度単位でおおよその気温を保ちます。

それに対してAlexa君のほうには、僕は28.5度でエアコンを入れ、26.5度でエアコンを切るという、細かい指示を出すように設定していました。15年前のビーバー君は1度単位ですから、いちいち細かい指示を出されては機嫌を損ねるのも無理はありません。

さて話はIoTにすっかり逸れてしまいましたが、問題は当日の夜です。外気温は33度ほどに下がってきましたが、室温は暖房が効いているおかげで、37度を上回ってきました。サウナ状態です。僕はまずAlexaとの関係を断ち切り、純正リモコンでコントロールを試みましたが、やはり暖房モード全開です。

これはエアコンの本体に付いているマイコンが、エラーを起こしているかもしれない。と考えた僕は電源を抜いてしばらく放置した後、電源ボタン長押ししたままコンセントに挿す。だいたいのIT機器はこの方法で初期化できるので、やってみました。だめです。熱風です。Webで型番を打ち込んで、トリセツをダウンロードし、5秒間の長押しで強制冷房モードになる、というのも知りました。だめです。

そうこうするうちに夜は2時になってきました。汗たらたらでもう諦め、エアコンの電源を抜いて窓を開け放ち、ぬるめのシャワーを何度も浴びながら、夜が明けるのを待ちました。寝られるわけがありません。寝たら熱中症で死ぬかもしれない、と本気で思いました。せめて予備に扇風機くらい買っておけば良かった、と後悔しましたが、長いサウナ状態は何時間も続きました。

なんども強調したいのですが、エアコンの冷房が効かない、のではなく、エアコンの暖房が良く効く、という状態だったのです。

今から50年ほど前、中学校の同級生の部屋がたまり場になっていて、4人も5人も入るとエアコンを全開にしても部屋か冷えませんでした。今のような高性能なエアコンではなく、冷房専用の効きの悪いクーラーでした。それでも僕たちは暑さの中で強がって、

「おう、暖房がよく効いとるやんけ!」

と表現したものでした。先生からネガティブな表現をできるだけ使わず、ポジティブな表現を使うように指導されたこともありますが、大阪人ならではのシャレの心意気が感じられるエピソードでした。

今回のエアコンの故障は、そんなコジャレた表現ではなく、文字通り暖房モードになって37度、38度まで室温を上げてくれた、笑えないエピソードです。運良く翌日には電機屋さんがきてくれて、ビーバー君を外し、Panasonicの新しいエオリアに付け替えてくれました。Alexaには細かい室温調節はせず、よほど暑いとき、よほど寒いときのみエアコンに指示を出すように設定しました。

0.5度単位で温度調節をするエオリア君は、サーモスタットを自分に任せてもらえて機嫌が良く、順調に冷房や除湿をやってくれます。何ごとも指揮命令系統はシンプルにした方がいい。船頭多くして船山に上る、ということわざがありますが、その通りです。今回の件は15年選手であるベテランのビーバー君に、新人のAlexaやSiriが、それぞれ異なる命令を出したせいだと思えてなりません。

あと、全く関係ないのですが、20年続けてきたこのブログも、デザインを全く新しいものに構築し直します。iPhoneで見られている方は気がつかないかも知れませんが、PCやMacで見ると、違いが分かると思います。とりあえず生成AIや翻訳機能、過去の記事の発掘や、セキュリティ機能を高めました。

近々ビジネス用のサイトも立ち上げる予定なので、練習の意味も兼ねて個人用のブログでHTML5やUNIX、WordPressの新機能などを勉強できたと思います。

さて僕の新しいビジネスが上手く行くかどうか。サイトを皆さまにお見せできる日が来れば、ビジネスも軌道に乗ることでしょう。

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