僕の好きだったアメリカを返せ

2020アメリカ合衆国大統領選挙まで1ヶ月を切りました。日本人の僕が他国の選挙に気をもんでどうする、という人のために理由を説明しておきましょう。

一つは日本はいまだアメリカの属国だからです。強い経済的な相互依存関係にあるというだけではなく、軍事的に日米安保条約という世界にも珍しい軍事同盟と、地位協定による特別な関係なのです。ですから宗主国アメリカがどこへ向かうのか、それは他人事ではありません。(属国、宗主国という用語は正しくありませんが、僕はあえて今後その表現を使います)

二つ目は、これは僕自身の問題かも知れませんが、僕はかつてのアメリカが大好きだったのです。僕はアメリカの音楽を聴き、アメリカ文学に浸り、ハリウッド映画を観て育ちました。そこに描かれているのは自由と博愛、平等を旗印にした、アメリカ民主主義の理想でした。それが理想でしかない現実を、後に知りますが、それでもアメリカを嫌いにはなれませんでした。

今、アメリカは新型コロナウイルスで20万人が死亡するという、未曾有の危機に瀕しています。日本も含め世界中がコロナにやられているわけですが、とりわけアメリカの場合は、トランプ大統領がコロナを軽視するという暴挙に出て、それが被害を拡大させました。「マスクをする奴は弱虫だ」「普通の風邪と変わらない」と大統領が言うのだから、これはもう人災としか言いようがありません。

トランプ大統領自身がコロナに感染したというニュースが飛び込んできたとき、僕は「気の毒だ、困った」と感じるよりも、「それ見たことか、20万人の国民を見殺しにした罰だ」と感じました。と同時に大統領選にどんな影響が出るか、考えました。

多くの人は、コロナを軽視してきたトランプ大統領の政策が間違っていた証明になり、バイデン候補が優位になるはずだ、と言いました。それは正論だと思いましたが、僕はそう簡単ではない、むしろトランプ氏が優位になるのがアメリカ人の国民性ではないかと考えました。

案の定、トランプ氏はちょっと体調が良くなると、コロナが陰性になった訳でもないのに、そそくさと軍の病院から抜けだし、ホワイトハウスに戻りました。そしてより強気な発言を連発するようになったのです。「感染しても私のようにすぐに良くなる」「私は免疫がある」とコロナに対する勝利宣言を始めたのです。

可哀想なのはシークレットサービスと側近やホワイトハウスのスタッフです。次々にトランプの撒き散らすウイルスの犠牲になっているようです。そんなことは気にもせず、11月3日の大統領選に向けて、強い自分をアピールをしています。対立候補の民主党バイデン氏は高齢ですから、そこにつけ込んで勢いで圧倒しようというのでしょう。

自国ファースト主義、地球温暖化の無視、黒人差別反対運動への抑圧、などトランプ大統領のやり方は、僕が好きだったアメリカの方向性とはかけ離れています。また納税額など自分に不利な報道がされると、フェイクニュース、の一言でかたづけてしまう横暴さは目に余ります。

僕はアメリカの文化が好きだと書きましたが、一つだけ好きになれない文化があります。僕はアメリカのマッチョ文化と呼んでいるのですが、ヒーローは常に肉体的に強靱でタフである、という一本調子です。ハリウッド映画にもよく出てくるモチーフですが、現実社会はマッチョ文化では成り立ちません。

大統領選の世論調査ではバイデン氏が優位と見られていますが、トランプ氏がそれを覆して再選されるとすれば、残念ながらアメリカ人のマッチョ文化によるものでしょう。選挙運動中にコロナで倒れ、それを克服して、入院してわずか3日後に執務に戻る。そんなアメリカ人のメンタリティーにピッタリくるタフなヒーロー像を、トランプ陣営は演出しているようです。

そんなつまらない演出に、どうか引っかからないで下さい、とアメリカの皆さんに心から訴えたい気分です。トランプ氏はどんな手を使ってでも再選を狙ってきます。亡くなったギンズバーグ判事の後釜に、自分が選んだ共和党の人物を入れようとしています。郵便投票は無効だと訴えて、勝利宣言をしてしまうかも知れません。

民主主義のお手本であった、僕の好きなアメリカが、ガラガラと音を立てて崩れていくのだけは見たくありません。アメリカ合衆国の各州市民が、判断を誤らないように祈るばかりです。

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