杉田水脈と植松聖に共通する優生思想

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2018年7月「こどもを作らないLGBTには生産性がないから税金の無駄」と雑誌上で主張した自民党の杉田水脈議員は、LGBTを差別したことだけが問題ではありません。彼女の思想の背景にあるのは「生産性のない人間」が生きることをを否定するとんでもない発想であり、障害者や認知症患者を始めとする社会のマイノリティーの人権を踏みにじるものです。またこどもを作らない女性すべてに対して「生産性がない」と否定するものでもあります。

そもそもこどもは「生産」するものなのか、というツッコミは置いておいて、人間が生きる意味を「生産性」の如何によって判断している時点で、政治家として失格です。また人としてもいかがなものかと僕は思います。社会において生産性のない障害者などの社会的弱者や高齢者などに対して、いかにその人がその人らしい満足な人生を送っていけるか、それを考えるのが政治家の立場であるはずです。しかし杉田水脈氏にはそれが欠落しています。

残念ながら世の中には、このようなとんでもない思想の持ち主が少なからずいます。体や心に障害を持ち、社会支援によって生きている人々に対して、「社会のお荷物」という見方しかできない思想。社会的マイノリティーを排除していこうとする思想。こういった考え方はナチスの優生思想(優秀なゲルマン人のみの遺伝子で社会を構成し、身体障害者、精神病患者、社会的異端者などを抹殺しようという思想)に通じるものです。

この話を聞いて僕がすぐに思い浮かんだのが、2年前の神奈川県相模原市で起こった障害者殺傷事件です。津久井やまゆり園で知的障害者19人を殺害した、植松聖被告は今もなお「日本には金がないのだから、社会の役に立たない障害者を生かしておく余裕はない」という自身の主張を、獄中から発信し続けています。このような植松聖の主張を支持する声が、驚くべきことにネット上で今もあちこちから聞こえてくるのです。そのような声は事件直後からあり、僕が記録していたので当時のブログをお読み下さい。

相模原の知的障害者殺傷事件は「狂気」ではなく「確信犯」だ

このブログでも紹介していますが、「自民党ネットサポータズクラブ」のメンバーにより、「障害者のこどもを持つ野田聖子議員は、税金の無駄遣いを止めるために自ら率先して、自分のこどもを見殺しにすべきだ」という主張が堂々と述べられています。杉田水脈議員、植松聖被告、自民党ネットサポーターズクラブのメンバー、これらの主張は同じライン上にあると言えます。杉田水脈議員は植松聖被告と紙一重だということです。

植松聖被告は、自分が殺害した重度の知的障害者のことを「心失者」という用語を用いて、その人たちに生きる意味は無いのだと主張を繰り広げています。とんでもない話です。障がいによって自分の感情を上手く表現できなくても、その人には確かに心があるわけで、それを自分が理解できなかったからといって、「心失者」などと呼ぶのは言語道断です。そしてもちろん重度の知的障害者には「生産性」などありませんが、それを理由に人権を否定するのは間違いです。

社会には多数派がいて、少数派がいる。当たり前のことです。LGBTも少数派ではあります。障害者も少数派でしょう。少数派が社会の中で生きていく上で不利な環境にあるとき、それを支援し、共存できるように工夫をするのが政府の役目であるはずです。少数派を切り捨てる発想を持った杉田水脈議員が、政権与党にいることは、薄ら寒い感じがします。彼女はレイプ事件の被害者に対しても「本人にも責任がある」などと公言してはばからない人物です。

そのような人物を、自民党はなぜ比例区の上位にすえて当選させたのか。もしかしたら今の安倍政権は、安倍首相自身が少数派を切り捨てる思想の持ち主で、政権内部に既にこのような優生思想が蔓延しているのではないか。僕はそのような懸念さえ持っています。LGBTなどの多様性を認め、社会のマイノリティーと「ともに生きる」という精神が、日本人の心から消え始めているとしたら、それはもっと恐ろしいことです。

道徳教育がもし必要であるとするならば、まず自分とは違う多様な人間のありかたを認め、「ともに生きる」という気持ちを育むことが、最優先されるべきだと思います。大人になった今でも、残念ながら障害者を「社会のお荷物」としか考えられない人が少なからずいる以上、声を大にして社会の多様性を訴え続けなければならないと僕は考えます。

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