「皇室典範に関する有識者会議」は平成17年以降、11年間一度も開催されていない
今日平成28年8月8日午後3時、天皇陛下は自らが高齢のためにご公務をできなくなった場合を憂慮し、「生前退位」の意向を強くにじませる「お気持ち」を、ビデオメッセージとして国民に一斉に公開しました。これを受けて一時間後、安倍首相は「重く受け止める」「有識者を含めよく検討する」というコメントを発表しました。
天皇陛下の「生前退位」を実現するためには、憲法は改正する必要はありませんが、皇室典範(皇室について定めた法律の一種)という重大な法律を改正する法案を、有識者で検討するなどしてから衆議院、参議院で審議し、可決して成立させなければなりません。この案件は既に陛下がご高齢であることから、他の法案に先駆けて審議されなければならず、少なくとも一年はかかると見られています。安倍首相にとっては憲法改正の審議が遅れるので、着手したくないのが本音でしょうが、陛下自身の口から「公務の軽減や、摂政による対応では解決策にならない」と言われた以上、皇室典範の改正審議に急いで取り掛からなければならないことになります。
そういえば「皇室典範に関する有識者会議」というのが、過去に開かれていたのを思い出し、調べてみました。ありました。
今から12年前、平成16年に小泉純一郎内閣の時に、初めて開催された会議です。ですが審議の内容は、女性天皇を認めるかどうか、というのが主でした。そして翌年の平成17年11月に開かれたのを最後に、なんと11年間ものあいだ一度も開催されていない、名ばかりの会議になっていたのです。安倍首相は本当に皇室典範を改正する気があるのでしょうか。天皇陛下から今日のような「お気持ち」を確認する前に、首相は自主的にこの会議を速やかに再編、再開すべきだったのではないでしょうか。安倍内閣はなぜ放置しているのか不思議に思います。僕だって先月の時点で、陛下のお気持ちはウワサとして察知し、ブログにしています。
そもそも天皇陛下には政治に対する権能はない、と憲法に定められています。ですからなおのこと、政府を預かる内閣総理大臣としては、天皇陛下の意を受ける形ではなく、自主的にお気持ちを察して「生前退位」の実現に向けた行動を開始すべきだったのです。天皇陛下を崇めることをモットーにした、極右団体「日本会議」が牛耳る安倍内閣としては、考えられないことです。それとも他に何か優先したい法案でもあったのでしょうか。まさか憲法改正の方が重要だと考えて、天皇陛下のご意向は、ご公務の軽減あたりでお茶を濁そうと企んだのではないかと、疑いたくもなります。
天皇陛下の「お気持ち」ビデオ全編(10分)と、それに応える安倍首相のコメント(1分)を載せますので、良く考えて国民として、安倍首相は何をするべきなのか、みなさんも考えてみてください。
https://youtu.be/8U4-o1_8ngc
天皇陛下は既に82歳で、皇太子殿下は56歳です。審議は時間との勝負です。安倍首相の迅速で的確な実行を期待します。
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8月8日追記:今では、内閣官房皇室典範改正準備室というのが平成24年に設置され、こちらで審議が行われているようです。
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なんだか、ぐずぐずして、陛下が亡くなるのを待つかも。
嫌な予測ですが、確率は低くない気がします。
それは国民の理解を得られないでしょう。時限にはリミットがあるのですから。
憲法改正とバーターにしそうなあたり、「ぐずぐずとやる気なし」の感じが濃くなってきたのではないでしょうか。
何か新しい有識者会議設置などの政府の動きはありますか? いくらなんでも放置はひどい。
日本会議はどのようなスタンスなのでしょう、そこが生前退位に否定的なら、ぐずぐずしそうな。
日本会議は「現人神」としての天皇制ですからね。公務が出来ようが出来まいが、生きてさえいればいい、というスタンスかもしれません。
よく考えたら、ぐずぐずしているわけではなくて、臨時国会の召集を待っている状態ですね。天皇の意を受けて内閣(行政)が直接動いたら憲法違反になるから、あくまで国民の総意(国会)からの発議という形ではじめなければならない。
ただ心配なのは皇室会議を開いて、摂政の形に逃げ込むかもしれないことです。皇室会議といっても議員10人のうち皇族は2人だけで、あとは議長である内閣総理大臣をはじめ首相の任命した三権の長らですから、事実上首相の一存で決めることができます。陛下は摂政制では解決にならないと明言されていますが。
なかなか要注意な「皇室会議」です。