まさか? トランプ対プーチン ジャイアン同士で大揉め

puttin

3月17日に、アメリカの大統領候補であるトランプがフロリダ州で共和党第一候補として圧勝した、と、ニュースになりました。次の米大統領に求められている理性とは何か、その理性は、トランプにあるでしょうか。ここ数日、資料を基に整理してみました。次期大統領に求められているのは以下の2つの点と、私は考えています。

①IS打倒に向け、地上戦、踏み込んだ難しい措置を取るにあたり、ISと敬虔なイスラム教徒の違い、また、イラク等15年に及んだ戦争の教訓から本来はアメリカが踏み込みべきで はない、と前提を設ける
②冷戦後、欧米が思い描いたように、友好的にはロシアは動かない。プーチン独裁政権での、対ロシアとの緊張を敵意に満ちた事を、次期米大統領は覚悟しなければいけない。

②について、アメリカはジャイアン1、ロシアはジャイアン2と例えると、ジャイアン同士で揉めに揉めていることになります。なぜ、終末論を振りかざすIS打倒という、揉めている場合ではない、ジャイアン同士が協力し合わなければいけない時に、仲たがいをするのでしょうか。

「Foreign Affiars Report」2016 No.1,p6~12「プーチンの中東地政学戦略」の要約

プーチンの最終目標は「米主導の世界秩序を解体する」ことである。ポスト冷戦の安全保障構造からロシアが締め出されている現状に、解答を出したのがウクライナへの侵略である。しかしウクライナでの戦争は、ロシアのイメージが長期的に傷つけ、コストがかかり過ぎで誤算だった。国連70年周年総会を控えたタイミングで、ロシアはウクライナからシリアへ、またIS対策と論点を上手くすり替えた。

ソ連崩壊後、アメリカの歴代大統領4人は、ロシアとの関係を「リセット」を試みました。しかし、アメリカ、またEU(欧米)が思うように動かないのがプーチンの独裁政権です。
現状は、プーチンが「アメリカと違い、ロシアは民衆蜂起から中東の指導者と政府を守り、中東の政府を見捨てることはない」と対アメリカに対し、米主導の世界秩序の解体に向けてのメッセージを送りました。これについて、次期の米大統領最有力候補のヒラリーは「アフガニスタン、イラクの15年に渡る戦争の教訓とは、現地の社会を守るのは現地の人々国でなければならないということだ」と、つまり米主導の世界秩序ではあってはいけない、と解答を出しています。しかし、IS対策の争点となる、イラクのスンニ派の覚醒は、まだジャイアン同士の意見は全く違います。これから詰めなければいけない問題点は山のようにあるでしょう。

対ロ関係において、アメリカは「リセット」をもう試みるべきではない、緊張と敵意に満ちたものである事を踏まえる理性は、アメリカを世界最強の軍にすると声明を出している、景気の良いおじさまのトランプにはない、と私は見ています。ヒラリーではないと、非常に難しい、IS対策での地上戦、また対ロ関係を乗り越えられないだろう、トランプでは、ジャイアン同士は大揉めになる、と現時点での私の結論になります。

注)画像はプーチンは(お供がいるのに)虎を一人で射止めた、21キロの魚を一人で釣った、と偉人(奇人?)伝が多いことから選びました。

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6 comments to “まさか? トランプ対プーチン ジャイアン同士で大揉め”
    • >「風の谷のナウシカ」の巨神兵が出てきて

      巨神兵はISで合っていますか?(現実は救世主がいないのが残念)

      ジャイアン2のプーチンの主張は「再びロシアがグローバルプレイヤーと
      して世界に受け入れられ、主要な国際的決定に全て参加したい」です。
      プーチンの主張に理性的に対応できる素質が次期米大統領には
      不可欠です。財界人トランプや、(KKK?)クルーズには、ないと思います。

      またプーチンの最終目標は「欧米がロシアの利益を尊重するような秩序」です。
      ソ連の崩壊後、アメリカと同盟国は「欧米に押し付けられたとモスクワが感じて
      きた世界秩序を覆していくロシアの決意」を軽く見てしまったのです。
      Foreign Affiars Report」2016 No.1,p6~13より

  1. 日経ニュースメール 3/18 昼版
    ◆「子供に見せられない」 米大統領選、揺らぐ政治教育
    史上まれに見る混戦が続く米大統領選の共和党の候補指名争いで、
    討論会を「子供に見せられない」との苦情が続出している。不動産王
    ドナルド・トランプ氏(69)を中心に、相手の背の低さを皮肉ったり、
    性的な発言をしたりと低レベルの発言が相次ぐ。大統領選を「民主主義の
    最高の教科書」としてきた米国の政治教育が揺らいでいる。
    ———————————————–
    気難しい(寂しがりや?)プーチンと変なおじさまのトランプが、まともな
    対ロ関係を築けるわけがないと私は強く思います。

    • トランプ氏の支持層をみていると、アメリカの田舎の庶民の、本質を見せられた気がします。右手を上げさせて忠誠を誓わせるなど、と欧州の人がまゆをひそめるナチス方式を取り入れているように思います。けっこうしたたかです。

      でも僕は、池上さんが「たぶんヒラリーだろう」と言っていたので、それを信じてあまり心配しないようにします。

  2. >トランプ氏の支持層をみていると、アメリカの田舎の庶民の、
    >本質を見せられた気がします。
    まさに書かれているとおりです。2000年の大統領選は、ゴアとゴアの
    政策に近いネーダーが出馬して、票割れが起こり、漁夫の利を得た
    ジョージ・ブッシュが当選したのは皆さんが知る通りです。
    >池上さんが「たぶんヒラリーだろう」と言っていたので

    それを信じたいです。気難しい、しかもおそらく自己愛が高いプーチン
    (虎を一人で射止めたとか、自画像を買ったとか)と理性的なやり取りが
    できるのは、スピーチの内容を見て、ヒラリーしかいないと思います。
    また、私がよく挙げている「Foreign Affiars Report」ですが、「フォーリン
    アフェアズ レポート」日本語訳も出ています。価格に見合う内容です。

  3. まずはトランプvsクリントンが確定。
    関心はすでに副大統領候補を誰にするかになっているとか。なんだかなぁ、、、、

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