みんなで作る改正日本国憲法プロジェクト

11

憲法

ここにきて安倍内閣は、最終目的である憲法改正に向けて、前のめりに進みつつあります。皆さんは自民党の作成した草案を熟読されましたか? 国民投票にもかけなければいけないほど重要な改正案を、まだ見たこともない、という人も多いのではないでしょうか。憲法改正の中身について、ろくに議論もなされないで煙に巻かれた状態で、投票所に足を運ばされるのは非常に危険です。普通の法律は国会で衆参両院で過半数の議決を以て可決されますが、法律の法律である最高法規・憲法を改正するには、国会議員に任せるのではなく国民が直接投票する必要があります。それだけ慎重に取り組もうということです。

それなのに自民党の改正草案は、いつのまにかこっそり作られていて、なぜか積極的に国民に説明しようという姿勢が見られません。テレビ番組で半年くらいかけて、解説つきで放送して議論するくらいじゃなければ、一般の国民には届かないというのに、どうしたことでしょう。講談社α新書を購入するか、自民党のサイトへ行ってダウンロードしない限り、国民は判断材料を目にすることさえできないのが現状です。そんな状態で、自民党案に賛成か反対か、なんて二者択一を迫られても困惑するでしょう。

そもそも自民党案しかないのも問題です。野党はどの党も、基本的に現行憲法を維持する、という姿勢ですから草案なんて用意していません。大手新聞も、安倍政権よりと言われる保守派の読売、産経はそれぞれ独自案を出していますが、朝日や毎日は、改憲反対の立場であるため、やはり草案を作ろうとはしません。現行憲法あるのみ、です。いずれにせよマスコミが草案を作るなんて、おかしな話です。

僕がざっと自民党の草案を読んだところ、絶対ここは反対だ、と思う条文もあれば、ここはなかなか良くできている、と思える条文もあります。良くできていると言っても、翻訳調を直したり、旧仮名遣いを直したりしている点にすぎません。前文は、現行憲法がジョン・レノンのように崇高でワールドワイドな趣があるのに対し、自民党案は郷土愛を歌いドメスティックな感じがします。「公共の福祉」を「公益と公の秩序」に変えているのも納得がいきません。基本的人権を条文ごと削除しているのも問題です。こんな風に一つ一つ挙げていったらキリがありません。

そこで僕は考えました。国民の直接投票が必要なくらい重要な改憲ならば、条文や文言も、国民レベルで議論しようではありませんか。幸い今はインターネットがあります。そして集合知を得るのに適したMediawikiというフリーソフト(ウェブ辞書ウィキペディアに使われているのと同じ)が簡単に手に入ります。これで誰でも自由に編集、推敲することができます。意見が分かれた時にはトーク(議論)というタブをクリックして、その編集が好ましいものであったかどうか、公開の場で検討することができます。参考のために現行憲法、自民党草案を、項目ごとに同じページで見ることができます。

改正憲法

僕は大学時代の友人の川嵜さんと一緒に、発起人となってこのサイトの準備を進め、大まかではありますが形になりました。まだまだ改行が変だったり、変なところにスペースが入ったりと、不細工なところはありますが、すでに皆さん誰でもがアカウントを作成して、編集作業を行うことができます。日本初のネット上で憲法草案を練ることができるサイトの誕生です! 僕はこのサイトに、そのものズバリ「改正日本国憲法」と名付けました。さあ、全国の皆さん、このウィキ・サイトをいじり倒してください!

URLは、

http://kenpo-kaisei.jp

です。

まさに今、憲法を国民みんなで作る時代の幕開けです!!

###
ニュース、みてますか? -プロの「知的視点」が2時間で身につく- (ワニブックスPLUS新書)
クリックすればアマゾンに飛びます。
896円
読めば明日からあなたのニュースの見方が変わります!

 


すぎぴょんのWebログをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

11 thoughts on “みんなで作る改正日本国憲法プロジェクト

  1. この企画こそが、このサイトの真骨頂だと私は考えています。
    私は杉江さんから最初にメールを頂いたときに「国民が憲法を
    語れるレベルまで啓蒙すべき」とお返事をいただきました。

    私も啓蒙(暗きに光を放つ)、この言葉が好きです。
    ただ、啓蒙するためには学者ばかり情報を持っているのではないか、と
    そこは協力したいと、あと六甲台キャンパスの特徴ですが談話室があり、
    非常に仲が良いです。私も杉江さんを先輩として尊敬しています。

    1. ありがとうございます。この企画はドン・キホーテのように無謀なプロジェクトで、果たして何人の日本人が参加されるかというと、まだそのレベルに達していないような気がしています。実際に参加される人が少なくても、理想の憲法を作ろう、というプロジェクトが存在すること自体に、希望の光を持ってもらえればと思います。本来なら各界の有識者が始めるべき企画ですが、誰も始めないので仕方なく。。。

  2. 憲法改正草案を作ることは、まず改正の方向性、原則を明示すべきです。

    1.現状に大きな変革を伴うかどうか(簡単にいえば、大日本帝国憲法から日本国憲法への変革みたいに)。
    2.現行憲法で不備や不足が指摘されている事柄を補充し、現状と矛盾や乖離がある点は修正する。
    3.将来起こりえるような変化にあらかじめ対応できるようにする。
    4.憲法は国民の権利を侵害せず、国家権力を規制する、三権分立を拠り明確にする、といった来立憲主義の基本を逸脱しない。

    1~4の原則は、かつて私が「改正私案」を考えるときに置いたものですが、この縛りによってかえって、変えるべきところ、変えない方がよいところが明快になった気がしました。

    もちろん別の原則や方向性を立ててもよいわけです。
    自民党草案などは、別の原則によっているとみるべきでしょう。
    自民党草案は、大日本帝国憲法とそれが作られた明治の日本の社会への回帰を内蔵しています。「家族」や「天皇は元首」「公の秩序の優先」などにその原則を見ることができます。
    また現状の大幅な変更にも躊躇がありません。
    自衛隊でなく「国防軍」という名称にしている点も、単に名称の変更以上のイメージの変革を強います。
    「緊急事態」などは、東日本大震災のような未曾有の大災害、海外であれば大規模な暴動を伴い秩序の破壊的混乱が見られるであろう規模の災害においても、冷静に秩序を保った日本社会の現状をよしとせず、政府=内閣=総理大臣の非常大権の付与を核とする現状変革を盛り込んでいることもあります。
    これらを見ると、国家権力への集権が原則となっているのです。

    私は、自らの「私案」をリベラルなもので、現行憲法が求める方向性をさらに強化して、憲法が権力者を縛るという立憲主義として強力であると思っています。
    したがってこの「みんなの草案」がリベラルなものを目指すのであれば、私の原則を取り入れてみられたらいかがでしょうか。

    1. 「私案」ご苦労様でした。僕は僕の私案を作りたいわけではなく、できるだけ多くの国民に、自分なりに理想の憲法を考えて頂く、機会を持っていただきたいのです。そのために僕個人の考えた「方針」や「原則」に縛られること無く、ゼロから自由に考えてもらう「場」を設置するのが、今回の目的でした。

      ネトウヨに乗っ取られるなら、乗っ取られても構いません。それが国民の総意なら。しかしながら乗っ取られるどころか、実際には参加者が殆ど現れていないのが現状です。募集がうまく広まっていないのかも知れません。

      やむを得ず僕が自分で編纂をはじめたところです。もちろん僕にも僕なりの理念があります。たとえば「前文」ですが、これは理念や思想の基本を示す重要な部分で、絶対に必要です。
      自民党案はもってのほか。現行憲法の前文は読めば読むほどよく出来ていて、古き良き時代のアメリカ人の青春の理想が、高らかに歌い上げられていて、ジョン・レノンのイマジンを思わせる崇高な人類愛に満ちた名文です。世界文化遺産にしたいくらいで、二度とこのような理想に満ちた憲法は生れないでしょう。

      いろいろ考えたけど、結局、現行憲法の全文を、旧仮名遣だけ直して使いたいと思いました。僕にはこれ以上の名案は思いつきませんが、誰かが改良してくれれば、もちろんそれに越したことはありません。

      これだけの縛りでも、余計なことをしたかな、と思っています。

  3. 私は過度に「プラグマティック」なのでしょう。
    思い出深い品物でも、使わない・見ない・着ないと思ったら躊躇なく捨ててしまうタイプの。
    このタイプにとって「着ない衣服、読まない本、食わない食材」が手元にあることはプレッシャー以外の何ものでもありません。

    昨年「今年の女性(だったかな?)100人」に選ばれた、収納整理コンサルタント近藤麻理恵さん(コンマリさん)の「ときめき整理術」なら、現行「前文」は、ときめくので残すとなるかも知れません。
    しかし、どんな法律も行為も「前文違反」に問われることはありません。憲法自身ですら、個々の条文が「前文に反するから無効」となることもありません。
    その意味において「前文」は「役に立たない」といえます。

    「ときめき収納術」ではなく「使うか使わないか整理術(効用主義者)」にとって「前文」は「捨てる」に分類されてしまうのです。

  4. 率直な質問ですが、自民党は野党になったときに何故日本青年社に
    憲法草案を作らせたのでしょうか?
    野党になってお先真っ暗感になったとか、枝野さんが作られたコンパクトな草案が
    憲法学者絶賛されたことに腹を立てたなど、私も詳しい話は知らないのですが…。

    1. そうですね。僕もそこんところが謎でして、何ゆえ日本青年社だったのかと。なので推測にすぎません。本来なら憲法学者を始め各界の有識者を集めて草案を作らせるところですが、野党なのでそれだけの力がなかったのかも。
      それより、自民党よりもずっと大きく影響力のある『日本会議』の力の方が、実際にはまとまりがあり、『日本会議』の一部である日本青年社がリーダーシップを取っていたのではないかと思います。

  5. 杉江さんの日本会議についての記事を再度読ませていただきました。
    桝本さんのコメントも非常に勉強になります。

    私はまだこれについて記事にできるほど、情報をまとめていません。
    野党になった時に一体何があったのか、と私もとても気になります。
    とある参議院女性に過去に(あくまでも)「自民党が野党になった時に
    『関心をひきつけかったため』とお聞きしています。
    当時、谷垣さんは総裁でしたが、下をうつむきながら憲法草案を提出
    なさったと。
    ただ片山さつきさんは「優等生主義」で洗脳されていらっしゃいると…。
    (片山さつきさんのツイッターが以前話題になりました)

  6. がーん!肝心のサイトが、サイバー攻撃を受けて壊れてしまいました。(涙
    誰でも承認なしで書き込めるように、フルオープンにしていたのが、仇になったようです。変なロボットがたくさん入り込んできて、めちゃくちゃにしていきました。僕の技術力では再起不可能です。ショックです。。。

あなたのコメント

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください