クリミア併合に核を使うようなプーチンと領土交渉できるのか

プーチン

ロシアがウクライナ南部のクリミアを併合してまもなく1年になりますが、それに合わせてロシアのプーチン大統領が出したコメントはショッキングでした。これまでロシアはウクライナ南部のクリミア半島を「住民投票の結果、圧倒的多数の希望があったから」ロシアに編入したのだとし、我々もそう信じてきました。まあ住人を大量に送り込んで実効支配した上での住民投票というのも、いかがなものかとは思いましたが、実態はもっと強行だったのです。なんと核兵器を準備するよう軍に指示した上で、計画的に力ずくで奪い取ったと、ロシア大統領自らが認めたのです。

ウクライナ側はこれをハーグの国際司法裁判所に提訴する考えのようですが、そもそも今の時代に核兵器をチラつかせての交渉なんて許されるものでしょうか? 少なくとも文明国においては今や核兵器の保有自体が問題視され、CTBTはじめ核軍縮が進んでいるのが国際社会の常識だと思っていました。いやロシアだって核軍縮には積極的だったはずです。そんな時代に、核兵器を脅威として使って外交問題を解決するとは、プーチンのやり方は70年前にさかのぼってしまうくらい時代遅れです。許されるはずがありません。

これまで僕はプーチン大統領のことを、周辺諸国とロシアの関係を上手に取りまとめてきた人物だと思い、その点は評価してきました。しかし今回の一件ですべてぶち壊しです。外交問題を進める上で核兵器を脅しに用いるとは、まさしく核兵器の行使にあたります。核ミサイルを発射するだけが核の使用ではありません。具体的に発射準備を進め、相手を萎縮させるのも核兵器の行使だと言えます。唯一の被爆国である日本としては、看過することはできないはずです。

日本自身もロシアとの間には北方領土問題を抱えています。今年後半に予定されているプーチン大統領の訪日を機に、北方領土問題は解決に向けて大きく進むと期待されているところでした。安倍政権も北方領土問題の交渉については自信を示し、着々と準備を進めているところでした。ところが核を用いられてはひとたまりもありません。そんな相手とはそもそも交渉のテーブルにつきたくないくらいです。核拡散防止条約に違反するような、今回のプーチンの行為は、国際的に正しく裁かれるべきです。それからでないと北方領土問題も交渉を進めるわけにはいかないのではないでしょうか。

日本政府にも今回のプーチンの野蛮な行動に対して、しっかりとした抗議をしてもらいたいものです。

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2 comments to “クリミア併合に核を使うようなプーチンと領土交渉できるのか”
  1. そこまでロシアプーチンが過敏になっていたというのならば、マレーシア航空の旅客機にも過剰反応した可能性はより高かったということですね。
    見られたくないもの(戦術核の移動中とか)が当時は山ほどあったでしょうから。

  2. アメリカや北朝鮮は抑止力として核を持っているが、中国やロシアは使うために核を持ってるんでしょうな。そういうメンタルな違いはプーチン以前にロシアが持ってる体質で、そういう国とも外交していくしかしょうがない。外交はするけど合意なんか持ちようが無いって感じですね。不合意が結論の外交もあっていいと思います。

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