学校で教えない「パーセント」のトリック

みなさんも降水確率80パーセント、とかイチローの打率が30パーセントを超えた、とか判りやすい数字として使っていることでしょう。
しかしこの「パーセント」という数字、意外な錯覚を生むことを知っておいて損はないかと思います。014

先日、新潟中越地震で余震が少し減ってきた頃、ニュースで「気象庁が震度5以上の余震が起きる確率は20パーセント以下に下がったと発表」と報道しました。
ところが皮肉なことに、翌日から震度5クラスの余震が相次いで起こっています。今日も震度5強の地震がありました。
みなさんは、この事実をどう解釈しますか?
気象庁の予想がまた外れた?と思う人。
何を根拠にそんな予想しているんだ、と思う人。。。

違います。
気象庁は科学的な根拠に基づき、それまで50パーセント近かった確立が20パーセントになったので被災地の方々の不安を取り除くためにも、正確に発表したのです。
統計学的にも正しい数字です。

だから、怖いのです。
みなさんは確率20パーセントという数字を聞いて、多いと感じましたか?それとも少ないと感じましたか?
僕はなんとなく、やや少ない感じかな、とぼーっと聞いてました。
やれやれ、余震の心配が減ったなと安堵感を覚えました。

しかし震度5の地震の起きる確率は、例えば東京、大阪あたりですと0.1パーセント以下。全国どこでも普段はそれくらいだそうです。0.2パーセントにでもなろうものなら警報ものです。
ですから、新潟での20パーセントは極端に高い数字なのです。

パーセント表示は時に非常に危険な錯覚を呼ぶので、僕はあまり報道で使うべきではないと考えています。
たとえば「野球」というスポーツをよく知っていて、あるいはルールくらいは知っている多くの日本人やアメリカ人にとっては「打率が30パーセント」と聞けば直感的に有能なバッターだ、とピンときますよね。
でも野球を全く知らない人にとっては、そのバッターが有能なのか無能なのかまったく判断できない数字なのです。

僕たちには知らない分野がたくさん有ります。気象を始め専門的なことは知らないことの方が、僕たちには圧倒的に多いのです。
それらの中で使われる「パーセント」という単位は、全く判断材料に使えない。いや、むしろ数字のマジックでだまされかねない単位だということを肝に銘じたいと思います。

余談ですが、これを読んだ方の将来をひとつ予想してみましょう。
「あなたは死ぬでしょう」
「その確率は100パーセントです」

と、いわれても、もう怖くありませんよね。(笑)

 

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