お隣さんのドンチャン騒ぎ
深夜だというのに大音響のダンス音楽。
酔っぱらった男女の嬌声が、深い緑の庭を越えてこだまする。
六本木一丁目から虎ノ門にかけて、閑静なホテル・オークラに通じるこの通りは、普段静まりかえっている森のような街であり、この騒ぎはめったに見られない光景である。
で、おもわず先ほどケータイのカメラでパチリと写真を撮った。
すぐに5人の制服警官に取り囲まれて職質、僕はプール帰りだったが急いで身分証明書をポケットから取り出した。
警視庁麻布署の職員が懐中電灯のスイッチを入れるよりも早く、僕はパーティーの酔っぱらいの美形の青年に腕をつかまれ、お入り下さいな一緒に飲みましょうよ、と誘われてしまった。
一歩でも門をくぐるとそこは自由の国。
ワインをぐびぐび飲んで、たちまちへべれけになる。
あちらでもこちらでも羽目を外した男女が、男同士がキスをしている。
愉快なのだが、ふと気が付くと僕の横には僕を誘ってくれた男子がべったりくっついている。
彼はまさしく「愉快なピープル」であり、そのお相手をつとめる自信が全くない僕は、そそくさと退散するのが賢明である。
どうやら恵比寿町内会のお盆祭りとは似て非なるようだ。
門の外にいる所轄の制服警官たちも、騒音を立てる彼らを注意しに来たのではなくて、逆に彼らに苦情を言いに来る連中をなだめるために立っているのである。
それが証拠に、僕が一歩門の中に入ったとたんに職質は中断して知らぬ顔、仮に僕が「愉快なピープル」に何か暴行を受けたとしても助けるそぶりもなく、門の外から遠巻きに見ている。
お隣さん、それはスウェーデン王国大使館。
今宵は国王の全権特命大使閣下の主催による「スウェーディッシュ・スタイル・トーキョー」という宴会だったのだ。
敷地内は国際法上の治外法権であって、日本の法律は一切適応されない。
もちろん麻薬を使おうと拳銃をぶっ放そうと、日本の官憲は立ち入ることもできない一角で行われているパーティーである。
一瞬、このまま亡命しようか、という誘惑にかられた。
これがもし「愉快なピープル」じゃなくてステキなおねいさんだったとしたら(妄想)・・・・・。
ニュースで見た、中国の日本大使館の柵を乗り越えようとした北朝鮮の家族の映像が、ふと脳裏に浮かんだ。
ふと我に返った。
逆に言えば、この敷地内にいる限り、僕のバックドアの貞操を日本の官憲は守ってくれないということでもある!
…自力で自宅に逃げ帰り、今このmixi日記を書いています。
スギィ無事であります。
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