昼の誘惑~運命~

一度だけ、たった一度だけ…
酒を飲んだ勢いで、僕の部屋に泊まって帰ったことがある。
二人で濃厚なひとときをすごした。
そんなマイミクさんとのランチとなる予定だった。

泊まったといっても、からだの関係を持ったわけではない。
しかも結婚前の話である。
だが妻はその事実を知っているのである。

待ち合わせの場所へと向かう途中。
12時が近づいた頃。

イキナリ僕の携帯電話が鳴り出した。
(ま、電話はいつもイキナリ鳴るものですが)
ん…?!まだ仕事中のはずだが?
妻から直電である。

電話に出るのか?出ないのか?…選択肢は一つしかなかった。
もちろん僕は電話に出た。
そして、それが僕らにとんでもない「運命」をもたらす引き金となった。

僕にとっての「運命」であったのは確かである。
それよりも、僕にランチのお誘いメールを送ったマイミクさんにとって、より大きな「運命」だったことが、今回の日記の最大のテーマであることを知ってもらいたいのであります。

「いまどこ?」
携帯電話にかかってきた妻の声は、低く落ち着いていた。
冷静をよそおってはいるが、感情の昂ぶりを抑えきれないようすが、受話器を通して伝わってきた。
こういうときは正直に答えるにかぎる。
僕はランチの相手と一緒にいる場所を、反射的に答えていた。

妻のしゃべり方が一変して、感情を爆発させるトーンになった。
「そこにいて…わたしも行くからね!わたしも行くからね!」

続いて発せられた言葉が、運命との出会いを決定づけた…

(つづく)

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