「海の底に大きな魚が眠っていてね、僕たちが見ている世界はすべて、その魚が見ている夢なんだよ」

ぱちっと大魚が目を覚ます日。

リアリティ(現実感)とはまことに不思議なものです。
「自分が今、たしかに現実社会で生きている」という実感と、「もう一人の自分が、ベール越しにそれを眺めているだけなんだ」という実感。
二つの自分がすうっと分裂する瞬間を、ある種のセンスを持った人なら、きっと経験していることでありましょう。

二つが完全に乖離してしまうと、自己同一性障害などと病名をつけられてしまうのかも知れませんが、そんな難しい用語をつかうまでもなく、それは誰の心にもあるのです。

矛盾した二つのベクトルを、自分の心の中に持ったまま、人間はそもそも生活しているのだと思います。
「否、私には矛盾など皆無だ」と豪語する人がいれば尊敬しますけども、あまりお友達にはなりたくない気もいたします。
「自分は本来こうありたいと思っている自分」と「自分で認めたくない現実の自分」という二つのベクトル。

・健康を考えて体によい食事を追求しようとする自分と、何も気にせず好きな物を食べたいだけ食べたいという指向の自分。
・キチンとすべきところはキチンとしたいと思う自分と、現実にはまるでキチンとできていない自分。
・常に健康であるはずな自分と、現実にはわりと病弱な自分。
・お金持ちでなければと思う自分と、現実にお金持ちでない自分。
etc.
完全に「コンフリクト」です。
コンピュータ・プログラムなら止まってしまいます。
ふと中学校だったか高校だったか、保健体育の授業で「フラストレーションとその対策」を習ったのを思い出しました。

「相反する二つのベクトルが、自分の心の中で作用するとき、ストレスを発生し、そのままでは自我が壊れる」

高校生向けにしては、ずいぶん難しいことを教えるなあと思ったものですが、それよりなにより「自我が壊れる」という表現はなかなかのものでした。
自我[ego]という言葉の意味もまだ知らなかった頃ですが、なんとなく恐ろしい感じは伝わってきました。
「人は自我の崩壊を防ぐために五つの防衛機制を用いる」
防衛機制?ぼうえいきせい?
…そう、この単語をど忘れして昨夜は思い出せず、今朝になってハッと思い出したので、忘れないうちに書いています。
この単語自体も、なかなかすごみのある字面です。
ようするに、
「自分のココロが勝手になんとか処理するメカニズム」
という意味だと解釈して良いでしょう。


防衛機制その1[逃避機制]
・とりあえず逃げる。見なかったことにする。現実から目を背け矛盾はないと思い込もうとする。無意識で作用するため本人も気がつかないのが問題点。

防衛機制その2[代償機制]
・矛盾するベクトルを代わりに別のものにすり替える。食欲や物欲などがしばしば用いられる。一時的には有効に作用する。代償が必要なのが問題点。

防衛機制その3[攻撃機制]
・矛盾に関連すると感じた対象を攻撃する。怒る。責める。攻撃している時のみ一時的に有効に作用する。攻撃対象が本来の原因ではないのが問題点。

防衛機制その4[合理化機制]
・逃避機制、代償機制、攻撃機制より高度な脳機能による。本人が矛盾を認識した上で、あたかも合理的に解決したかのような理屈を自ら構築する。自己欺瞞なのが問題点。

防衛機制その5[合理的機制]
・根本的解決を目指そうというもの。逃避機制、代償機制い、攻撃機制、合理化機制はいずれも根本的解決にはつながらない。唯一の正しい機制だが極めて困難。

なるほど。。。ろくでもない機制ばかり。。。
でも個人差はあれど、これらの機制を組み合わせて、人はどうにかこうにか生きているということらしい。
そして…!
この機制がどれも作用しなかったとき「自我が壊れる」。

自我が壊れる?
じががこわれる?
アイデンティティー[自己同一性]がクラッシュする?

どうやら、自分が自分でなくなる、ということらしい。
で、そうなるとどうなるの?

僕にはこれ以上は解らない。
脳みそがついていかない。
大学時代の親友が専門家なので、彼に訊いてみますかね。
やれやれ。


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