何が問題?テポドン2号改良型

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毎日の夕方5時になると「夕焼け小焼け」のメロディーが流れてくる、港区の防災スピーカーからは、めったに聞けないアナウンスが流れてきました。
午前11時30分過ぎ、NHK情報ネットワークの第一報を受けて、自宅のテレビを付けたのと、ほぼ同時でした。
「北朝鮮から、発射された、飛翔物が、・・・」

外の防災スピーカーの音に耳を澄ませていた妻が、テレビの音をしぼりました。
こんなの、そうそう聞けるわけじゃないんだから、外の音を聞きましょうよ。
彼女の意見は正しい。
てなわけで、しばし戦時中気分に浸れたのでありました。

緊張感がないっ! と怒られるかもしれませんが、情報が我々の耳に入った時点で、既にブースター部分は秋田沖に落下し、2段目のノドン部分から先は日本列島を越えて飛んでいました。
つまり発射から数分後、ほぼ予定通りの発射となったことがわかった時点で、
我々が緊張しなきゃいけないことは、何一つなくなっちゃったわけです。
(あとは安保理マターです。)

いささか気抜けした僕は、コーヒーを入れ直して、テポドン2号改良型について調べはじめました。
「ミサイルなの? 人工衛星なの? どこに向けて発射したの?」
といったレベルの質問に答える方が先だよな、とすぐに思い直しました。

今回のはどこかの国をねらったミサイルでもなければ、北朝鮮がいっているような人工衛星の打ち上げでもありません。
正確に言うなら「大陸間弾道ミサイル(ICBM)を作るため、弾頭を運ぶロケット部分の性能を確かめる実験」ということになります。

そもそもミサイルも人工衛星も同じ。
IT業界風にいうなら、どちらもキャリア(運ぶ手段)とコンテンツ(運ぶ中身)の組み合わせによってなりたっています。
キャリアに相当する部分がロケット部分で同じ構造をしています。
コンテンツに相当するのが、つまり頭にくっつける部分であって、核弾頭だったり人工衛星だったり3尺玉だったり、と用途が異なってくるわけです。
今回の目的はキャリアの実験なので、頭の部分はたぶんダミーでしょう。
それが何であるかっ、と論じてもあまり意味がありません。
3尺玉かなんか搭載してくれれば、素敵な花火になります。

ただし、この頭にくっつける部分を核弾頭に取り替えて、そいつをホームランのように遠くへとばす角度で打ち上げれば、場合によっちゃあアメリカ本土まで届いちゃったりするわけですから、とてもぶっそうです。

実は今回の問題のキモは、ここにあります。

2006年7月に連続発射された「テポドン2号」の射程距離は3500キロメートルから6000キロメートル。直接アメリカ本土を狙うには非力でした。
今回の「テポドン2号改良型」が、はたしてアメリカ本土に届く性能を持っているのか。
少なくとも前回より飛距離を伸ばしたのは間違いありません。
「こっちはおめーのところまで核ミサイルとばせるもんねー、オラオラ!
とやったわけですから、アメリカが黙っているわけがありません。

つまり米朝関係の極度の緊張、というのがポイントでありまして、別に日本を狙ってどうこうという話ではありません。
頭の上をかすめられるのは危険だし、非常に不愉快ではありますけれども、本気で日本を狙うならテポドンなんて必要なくノドンで十分。

日本にも破片が振ってくるとか、アルミの傘が必要だとか、自分の頭上のことに着目した、たわけた話を僕も書いてあそんでおりましたが、問題のポイントを見失わないようにして、明日からの安保理の動向を見守りたいと思います。

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