数年前、僕はタノナカさんとスタジオで仕事をした。

僕の書いた台本で、一役演じてもらうためだ。

収録は無事終わった。

「お疲れ様!」

その後、若かった僕はスタジオを出ようとしているタノナカさんに、我慢出来ずに声をかけてしまった。

「あのう、大変恐縮なのですが、僕の目の前で、『おい、きたろう!』と言ってくださいませんでしょうか?」

快く笑顔で応じてくれたタノナカさんの声は、一生忘れない。

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