ゼレンスキーは本当にヒーローなのか
僕は今回のウクライナへのロシア侵略まで、正直言ってウクライナという国の名前しか知りませんでした。なんとなくソビエト支配下時代、なんかチェルノブイリ原発事故があったかな、いや別の地方かも知れない。その程度です。ましてやゼレンスキーなんて名前は聞いたことも見たこともありませんでした。みなさんはどうですか。ソビエト連邦崩壊後に独立した国家の名前を全部言える人は、日本人には少ないのではないでしょうか。
そのレベルの頭で考えてみると、ゼレンスキー大統領をテレビで見たのは、あのロシアから侵攻を受けた時に「我々は生きている」といった画像です。なんかモスグリーンのティーシャツを着た、ネクタイもしない変わった大統領だな、という印象でした。まあ戦場ですから仕方がないのかな、と思いきやその後もモスグリーンをテーマカラーとして使っていました。感化されやすい僕は、さっそくモスグリーンのティーシャツを四枚買いました。アホですね。
実際に戦争が始まってみると、NATOを含む西側の諸国からは大国ロシアから攻撃された気の毒な小国、ということで一斉にウクライナを支持しました。たしかに「力による一方的な領土変更の試み」は絶対悪として、世界中に共有されている倫理です。ですから今回のプーチンによるウクライナ侵攻は、倫理的には絶対悪であることは異論がありません。
しかしながら、ゼレンスキー氏が、優秀な大統領であるか否かは、ちょっと別の話です。戦争が始まってもはや三年になります。仮に早々に戦争が終結したら、ウクライナでは大統領選挙をする必要があると思います。ウクライナ=ゼレンスキーではないのです。ぜレンスキー氏が応援されている訳ではなく、ウクライナという国そのものを支援しているのです。その辺を勘違いしているとしたら、ゼレンスキー氏は大統領として適任ではないかも知れません。
この戦争が一日も早く終息することは心から願いますが、戦争が終わってウクライナが最初にすべきは大統領選挙です。場合によってかつてカンボジアに明石康さんが派遣されたように、国連による平和維持軍でもいいでしょう。ウクライナではこの難局を乗り越えた、ぜレンスキーが再選してもいいでしょう。ただよこすべりに彼が新大統領になるのはいかがなものかと僕は思います。大統領の任期はアメリカの場合四年で二期まで、日本の場合は仮に自民党政権の場合、三年三期まで(安倍晋三元総理が二期までを変えた)二期から三期くらいが適当かと思います。長期独裁政権が、それも軍事政権が続くと、ろくなことはありません。それは歴史が物語っています。
では政権の座が短ければ短いほど良い、という訳ではありません。お隣の国、韓国では大統領の任期が五年で一期です。この一期制というのが、非常にまずい事態を引き起こします。たとえ五年の任期があったとしても、次の選挙で今の大統領がもう再選することはない。というルールですから、その大統領はレームダック状態になります。つまり今の大統領の命令なんか聞いてもしょうがない。どうせ次の大統領に変わるのだから、この人の命令なんか無視しよう、次の選挙で覆らせる。よちよち歩きのアヒルくらいの権力しかない。という空気が国民の間でも、役所や軍でも、民間財閥の企業でも漂います。そうなると肩書きは大統領でも、何の権力もない状態になるわけです。
国を率いるには、強いリーダーシップが必要だ、という意味で最低でも二期、三年から四年の任期が適切かと個人的見解として感じるところであります。というのは先日のトランプ合衆国大統領との交渉をメディア公開で見たからです。ぜレンスキー大統領の声を初めて聞きましたが、あまりにもネゴシエーションが下手くそでびっくりしました。そんな交渉力でよくヨーロッパで通用したな。という感じです。国際的なディール能力も大統領の必須です。しかも相手がトランプ大統領と分かっているのだから、もうちょっと研究するなり外交方針を立てるなど、日本の外務省もがんばっています。
トランプ大統領によると、「彼からはありがとうの一言もなかった」ということです。
「偉大なる合衆国トランプ大統領閣下、これまで莫大なご支援を頂き、本当に有難うございます。つきましては誠に恐縮ですが、今後もご支援を賜わりたく伺いました」と下手に出ることはできなかったのでしょうか。これくらい日本の民間企業の営業マンでも言えるセリフです。トランプ大統領は、もちあげると喜ぶタイプだというのは事前に分かっていたはず。この程度の外交力で大統領の資質に足りるのでしょうか。地下資源の話をされて、ムッとする気持ちは分かります。でもトランプがいわゆる「ディール外交」を声高に言っていたのも、世界中の人が知っている話です。
何らかの取引条件を出してくる事も事前に知っていたはず。「地下資源が豊富」、というのは「地上に何もない」という事柄をポジティブに言い換えてもいいでしょう。この言い換えは、例えば日本の地方を訪れた人が「ここは何もない田舎だね」という感想をポジティブに「ここは緑が豊かですね」と言い換えるのと似ています。地下資源は世界中のどこでも掘れば出てきます。だからと言って東京の地下資源を掘るわけにはいきません。そもそも日本は小さな島国ですから、掘っても石油さえ出てきません。アメリカがシェールガスや石油は、その気になればアラブや中東と並ぶ産油国でもあると言われています。
ではなぜ自前の石油を使わないのか。それは石油という資源がいずれ枯渇するから。というのが僕の想像です。あとコスパも悪い。だから自前の石油は大切にとっておいて、アラブや中東の産油国から、石油をお金で買った方が良い。というのも僕の想像です。中国も広大な大地ですから、掘ればいくらでも地下資源が出てくるはずです。今はもう石油の時代ではないから、地下資源というのはレアメタルと呼ばれるものです。コバルトやリチウム、チタン、シリコンなど半導体に欠かせない希少な金属のことです。みなさんもリチウム電池などは耳にしたことあがるでしょう。僕も子供の頃、興味本位でゲルマニウム・ラジオという電池のいらないラジオを作ったことがあります。その後はトランジスタという部品を秋葉原で買い、トランジスタ・ラジオを作ろうと試みたのですが、小学生にとってはハードルが高かったです。それで僕の理系人生は終わり。
今から考えるとゲルマニウムもトランジスタもレアメタルの一種だったかも知れません。そういえばアメリカのコンピュータ関連の産業地をシリコン・バレーと呼ぶので、半導体のシリコンが主役なのかな、と塑像しています。希少金属と言うのだから、インテルやアップルといった巨大企業や台湾の半導体産業なども希少価値を持っています。レアメタルの中には、僕がまだ知らない金属もあるかも知れません。そういうレアメタルを発見して、シリコンの上をいくCPUをを作れば、今ごろ僕は大金持ちになっていたでしょう。要するにトランプ大統領がウクライナに求める地下資源というのは、半導体が世界中でレアメタルが取りあいになっているからです。
みなさんが今この記事を読んでいるiPhoneやスマホの中にも、地下資源が入っているのです。この記事を書いているコンピュータにも、その半導体が入っています。そう考えると、地下資源が身近に感じられませんか。地下資源が世界中で取り合いになっているのも、訳があるのです。スマホから冷蔵庫まで、今やシリコン・チップが入っていますから、あらゆる産業に欠かせないのがシリコンチップであり、リチウムイオンなのです。そのうち自動車も電気自動車になりますから、大容量のリチウムイオン電池が必須です。かつて石油がそうだったように、あらゆる産業は地下資源を必須としています。
中国ではその広大な大地に眠っている、大量の地下資源を経済発展の後ろ盾にして、今後も経済的に優位になるでしょう。聞いたうわさ話によると、中国では地下資源を得るために、その都度に山を一つ丸ごと潰しているそうです。そのため山が砂漠になり、日本に黄砂が飛んでくるようになった。というのでアメリカ合衆国のトランプ大統領も「掘って掘って掘まくれ」と国内向けには言っているようです。「Dig it!,Dig it,Dig it!」という演説を聞いたことがあります。今回のウクライナとアメリカ合衆国の首脳会談が破局をむかえたのも、トランプ大統領の自国主義だけが問題だった訳じゃなく、ゼレンスキー大統領の外交力の無さも問題だったようです。
それが露呈したのが、今回の首脳会談だったように考えるべきではないでしょうか。今後のウクライナにはもっと外交力のある人物が選ばれることを期待しています。
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