iPhoneにハイレゾ音源はムリと判断した5つの理由


以前も書きましたが、CDやiTunesの音楽は16bit/44.1kHzという圧縮比率でデジタル化されており、アナログの元の音源に比べると荒いものです。つまり音質がそれなりに劣化しているのです。そうなると往年のオーディオマニアとしては、より音質劣化の少ない、原音に忠実な音楽を聴いてみたくなるのが人情というものです。

そこで今、注目されているのがCDよりも音質の優れたハイレゾ音源というものです。究極はwavファイルなどの非圧縮のデータでしょうが、それでは大きすぎるということで、実際に世間で一般の音楽リスニング向けに普及しているのが、flacファイルと呼ばれるもので、24bit/48kHzか24bit/96kHz、あるいはより音質を高めた24bit/192kHzくらいの圧縮率の音楽ファイルです。e-onkyoというサイトとmoraというサイトの二つが、今のところ日本では比較的に曲数の多いサイトで、登録曲数はApple Musicなどに比べると足元にも及びませんが、まあなんとか好みの音楽をいくつかダウンロードできるレベルです。

ハイレゾ音源を聴くために必要なことは、その音源をダウンロード購入することと、DACアンプという装置(デジタル音源をイヤホンやヘッドホンを鳴らせるアナログ信号に変換する)を購入すること。ハイレゾ音楽専用のアプリは、iPhone用ならラディウス社から出ているNePlayerという無料アプリや、e-onkyoからもmoraからも無料アプリが出ているので、アプリそのものには全くお金はかかりません。あと必要なのは、好みにあった高音質のイヤホンを買うことくらいでしょうか。もちろん高いほうが音質はいいのでしょうが、まあ好みの問題です。

僕はイヤホンが耳の形に合わず、すぐに落としてしまうので、かさばりますがSENNHEISER社製のヘッドフォンを使っています。最近流行りの片耳ずつの、イヤーピースだけのBluetooth接続のイヤホンなど、買う人の気が知れません。僕は買って三日以内に片一方のイヤーピースを紛失する自信があります。片一方を紛失したら意味がないのに、どうするのでしょう。よっぽど耳の吸着力が良い人なのでしょうか。それはともかく、「音源」「DAC」「アプリ」を揃えれば、誰でもお金をかけず簡単にハイレゾ音楽を楽しむことができるということです。

問題は、そこまでしてハイレゾの音楽を、iPhoneで聴く価値があるのか。そもそも音質はそんなに大きく違うのか。実用面からiPhoneでハイレゾを聴く意義について、体験を通して考えてみました。ここからはハイレゾ音源を楽しむことに対する否定的なお話になります。

  • 音源の楽曲数が圧倒的に少ない。

これは早速ぶち当たった問題です。聴きたい曲がなければ意味がありません。Apple Musicでさえ、本当に聴きたい曲がなかなか見当たらなかったりする僕ですが、前述の二つのサイトではとても好みの曲を探すのは困難です。まあこれは時代が進めば解決する問題かもしれません。

  • DACがやっぱり邪魔

かさばるヘッドフォンを持ち歩いている僕が言うのもなんですが、スマホとヘッドホンの間に一つ機器が入ることによって、携帯性は大きく損なわれます。なんかの拍子で、簡単にどこかのジャックが抜けてしまいます。それを気にしていては音楽を楽しむ気分にはなれません。DAC自体は、24bit/192kHz対応で、コンパクトでしかも安価、とメーカーの努力には頭が下がります。それでも僕には、DACが邪魔で仕方がありません。

  • 一曲あたりのファイルサイズが大きすぎ

普通のアルバム一枚くらいの量(4〜50分)で、2GBくらいスマホの容量を占めてしまいます。いくら最近のiPhoneの容量が128GBなどと増えたとはいえ、これではアルバム数十枚しか入りません。写真などをあまり入れていないとしても、です。結局、好きな楽曲が増えたとしても、スマホの容量をものすごい勢いで消費していくので、曲数を増やすことがためらわれます。

  • iPhoneのバッテリーを急激に消費する

これは意外な盲点でした。携帯用の小型のDACは、電源をiPhoneから供給してもらって作動しているのです。ベートーベンの第九を一回聴けば、バッテリーは25パーセントくらい減ります。僕はスマホは、いろんなことができるけど、基本は電話機だという信念があります。いざという時にバッテリーが切れて、電話も受けられないような状態にはしたくありません。したがって音楽を聴くのもためらわれるようになります。バッテリー不要が謳い文句のDACでしたが、肝心のスマホのバッテリーを、大いに使っているのは、納得がいきません。

  • 音質の差はそれほどでもない

これを言ったらおしまいですが、はっきり言って普通のAAC16bit/44.1kHzの音と、FLAC24bit/192kHzの音を聴き比べても、僕の耳にはほとんど差が感じられませんでした。そもそも僕の耳は加齢によって高音域の聞こえが悪くなっており、10000Hz以上の音を感じ取ることは不可能です。おじいさんの耳なのです。おじいさんの耳にハイレゾ、馬の耳に念仏です。おまけに、おじいさんなので、昔の音楽が大好き。当時のレコーディング技術で録音された音楽は、リマスターしてもそれほど改善される訳ではないのです。

そんなこんなで、僕が出した結論は「スマホでハイレゾ音源を聴くものではない」ということです。自宅であれば、一曲の容量のデカさを気にすることもないし、DACの消費するバッテリーを心配することもないので、ゆったりとハイレゾ音源を追求するのも悪くない趣味かもしれません。しかし路上や電車の中では、そこまで音質を極める意味がありません。Appleの標準のiTunesと、iPhoneの内蔵DACに戻してみて、改めてその多彩な曲目数に驚きました。バッテリーやメモリーの消耗を心配することなく、心ゆくまで音楽が聴けることが、いかに幸せかを再確認しました。そしてAAC16bit/44.1kHzという今の標準の圧縮技術が、いかに優れた技術であったかも、しみじみ感じています。

いつの日か、スマホの容量が1テラくらいになり、バッテリーが3日くらい平気で持つような時代がくれば、あるいはハイレゾをスマホで聞いてもいいかも知れません。いや、そんな時代になれば、iTunesがハイレゾに対応し、iPhoneは標準で24bitの高い周波数のDACを内蔵することになるでしょう。そう考えると外付けポータブルDACの出番は、永遠に来ないような気がします。

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