消息を絶ったマレーシア航空370便の謎を解く

マレーシア航空機 消息を絶って4日目、捜索は13か国によって南シナ海のみならず、タイの西側のアンダマン海まで範囲を広げて続けられています。偽造パスポートで乗り込んだ人物がテロ組織と関係がないことが判明したことから、捜査関係者の見方も変わりテロの可能性は低いとみなすようになりました。僕も一昨日書いたブログ、「マレーシア航空機墜落、テロ説の背景と真実」で集めたテロ説を検証する資料を捨てて、あらためてこの旅客機に発生した異常事態の真相を分析したくなりました。

あらたにわかったことと言えば、民間の航空レーダーから南シナ海上で機影が消えた後も、進路を西に向け、およそ1時間距離にして500キロメートルも飛行を続けていた可能性があることが、軍事レーダーによって解明されたこと。南シナ海上では機体の一部はおろかジェット燃料さえ発見されなかったこと。ぐらいのものですが、これは捜索をより難航させるだけではなく、新しい視点をもたらしました。

米国NSAが既になんらかの確かな事実を握っているという感触、中国政府当局も遠からず公式声明を発表しそうな感触から、まあ時期を待てば真相はあきらかになるだろうと楽観視していた僕ですが、振り出しに戻りました。民間用の航空レーダーと軍事レーダーでそんなにも差があるものかと不思議に思う人もいるかもしれませんが、それは当然のことです。民間用の航空レーダーは世界共通のもので性能に差はありませんが、軍事レーダーの性能は各国様々でまさに軍事機密でもあるからです。

とにかく民間レーダーからの機影を隠したままどこかに着陸するというウルトラCの技を使っていない限り、マレーシア航空機はどこかの上空で瞬時に空中分解したとみるのが妥当でしょう。では通信が途絶えてから空中分解するまで、1時間ものあいだコックピットで何があったのか。テロでないとすればハイジャックの可能性が高い。だとすればコックピットを制圧した犯人グループは、相当レベルの高い技術を持ち、それなりの訓練を受けたプロである。その犯人グループの目的は何だったのか?結局は前回のブログにも書いた通り、犯行の目的は何なのかという一点に戻ってきてしまうのです。

370便は通信が途絶える直前に進路を西に変えていた。それがクアラルンプールに戻ろうとしたためか、別の目的地を目指したためかはわからない。僕は地図の上にコンパスを置き、クアラルンプールを中心に北京との距離で円を書いてみた。西に向かえばインドを超えてちょうどパキスタンのあたりを針はさしていた。予備燃料も使えばアフガニスタン、イランも到達圏内に入る。ハイジャックの場合、乗員乗客を人質にして好きな空港に着陸することもできただろう。だがそれは未遂に終わったと考えざるをえません。消息を絶って4日が過ぎた今、残念ながら生存の可能性に期待するのは無理があります。

いずれにしても「その計画」は「失敗」に終わった。となると1時間ものあいだコックピットを制圧し続けた犯人グループは何者だったのか?盗難パスポートを使っていた二人の身元は明らかになったが、この二人を徹底的に洗ってみたところで、彼らがハイジャック犯であるという確証など得られない情勢である。ブラックボックスを回収することも深海に沈んでしまったマシンから発する電波をとらえることはできないでしょう。

普通は捜索が進むにつれ真相が明らかになっていくものですが、今回のケースは捜索が進むにつれ謎が深まっていく、という実に腹立たしい展開を見せています。

仮にこれが高度なインテリジェンスに基づくものだったとすれば、推理小説の定石を当てはめて考えることもできます。「最終的に最も得をするものが犯人だ」。そして仮にこれが迷宮入りした場合には、こういう結論を出すこともできます。「何かを隠そうとする工作は成功した」

今後の捜査で何も物証が得られなかった場合、僕はこの二つの結果から分析を進めていくより他はないと思っております。

【3月13日追記】

*ナショナルジオグラフィック3月12日:
マレーシア空軍のタン・スリ・ロザリ・ダウド(Tan Sri Rodzali Daud)大将はロイター通信の取材に対し、軍のレーダーがとらえた機影が最後に確認されたのは8日午前2時40分、マラッカ海峡北部のプラウ・ペラク(Pulau Perak)島付近と語っている。370便は失踪当時、管制センターに機体の位置を知らせるトランスポンダのスイッチが切られており、同日午前1時30分ごろに民間レーダーから姿を消していたという。

*CNN3月13日:
マレーシア航空の旅客機が消息を絶った問題に関連して、中国の国家国防科学技術工業局は12日、同国の衛星が海上に浮かぶ不審な物体をとらえたと発表した。この地点が墜落現場だった可能性もあるとしている。

*ロイター3月13日:
米当局は、同機が最後に確認された場所から約4時間飛行を継続していたと推測しており、連絡を絶ってからも同機が何百マイルも飛行していた可能性が出てきた。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が事情に詳しい2人の関係筋の話として報じた。

これらの情報は大きく矛盾している。それよりもなによりも真っ先に捜索のリーダーシップをとるべきボーイング社とFAA(米連邦航空局)が、今回に限り全く動こうとせず、小国の捜査当局にまかせっきりなのは、過去の航空機事故の捜索体制と比較してみても異例のことであります。なぜ4日間も動こうとせず、5日目になってから情報を出し始めたのか?次回はそちらに着目してみたいものです。

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