2024年4月19日

反社会的カルト集団「統一教会」と安倍晋三と政治と宗教

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マスコミは、そして検察はいったいどこまで、この事件の真相に迫れるでしょうか。2022年7月8日、奈良市で参議院選の応援演説中の安倍晋三元総理が、一発の凶弾に倒れました。ほぼ即死状態で意識不明、心肺停止のまま病院に搬送され,わずか5時間半後に死亡が確認されました。

直径2センチもある手製の銃で、3メートルという至近距離から安倍を撃った山上徹也容疑者(41)は、すぐに警察官に取り押さえられ、全く抵抗もせずに連行されていきました。その後の取り調べで山上の犯行動機が明らかになるにつれ、「統一教会(現在は宗教法人「世界平和統一家庭連合」と名乗っている)」がいかに反社会的なカルト集団であるか、名指しで報道されるようになります。

たまたま選挙中だったこともあり、マスコミ各社は当初この団体名を伏せていました。奈良県警の発表のまま「容疑者は恨んでいたある宗教団体と安倍元総理が関係があると思い込み」銃撃したのだ、という論調でした。NHKは繰り返し「安倍元総理の政治信条に恨みがあったわけではない」とニュースでは選挙結果に影響を与えることのないよう、慎重に報道しました。

しかしネット上では「統一教会」の名前が海外メディア経由ですぐに表面化し、僕は「統一教会」か、そりゃあ恨むわな、と納得しました。80年代当時まだ「オウム真理教」が出てくる前、霊感商法といえば「統一教会」。なんということのない壺を何千万円で買わされる。教祖である文鮮明の血が入っていると称する赤ワインを一口飲まされ、何百万円取られる。教本は一冊3000万円。強引な勧誘、ありったけの資金を献金させる。ETC.

僕らの世代なら、オウムよりもまず真っ先に出てくる「統一教会」の名前だが、僕はすっかり油断して記憶の片隅に追いやっていました。文鮮明が霊感で選んだ男性と女性を、韓国の本部に集合させて一斉に式を挙げる、合同結婚式とやらに、人気歌手の桜田淳子や新体操の山崎浩子が参加したのも懐かしい記憶です。山崎浩子は脱退したし、霊感商法も摘発されていたし、もう「統一教会」は自然消滅したものと思っていました。

今や自民党を支える宗教団体といえば日本会議かな、でも日本会議がそんなに恨まれることはなさそうだしな、とボンヤリ考えていました。しかしフランスの新聞「フィガロ」には、早くからLe secte Moon(統一教会)と明確に報じられていましたし、ドイツのテレビ局「ZDF」も警察発表はないものの、と断り付きで同様に報じていました。ヨーロッパでは「統一教会」は完全にカルト扱いです。

「統一教会」系の団体のイベントに、祝辞やビデオメッセージを送るのは、日本の安倍晋三とアメリカのドナルド・トランプくらいのもので、世界的に見れば「統一教会」は反社カルト集団であり、宗教でさえないのです。7月11日に「統一教会」が記者会見を開き、全国霊感商法被害者弁護士連絡会も会見を開き、テレビをつければ「統一教会」を脱退した元信者の悲痛な訴えが、多数見られるようになりました。

山上徹也は30年来の恨みだと言います。山上の祖父は会社経営者で、京都大学出身の父も会社を継ぎ、若くして亡くなりました。山上自身も勉強の良くできるバスケ部の生徒でした。しかし母親が「統一教会」に合計1億円という多額の献金を、山上家の土地も家屋も売り払って続け、2002年には自己破産してしまいます。山上がまだ20歳そこそこの頃です。叔父が交渉し、団体から5000万円取り戻すも、母親はすぐに献金してしまいます。兄は自殺し、海上自衛隊の3年間契約隊員を終えた山上が、どのような思いで20代、30代を過ごしてきたかは容易に想像がつくのではないでしょうか。

ではなぜ安倍晋三なのか。それは有名な冒頭の写真を見ていただきたい。左が「統一教会」教祖の文鮮明で、右が安倍晋三の祖父であり、昭和の戦後政治を代表する大物、岸信介元総理です。二人は笑顔で固く握手をしています。岸信介が「統一教会」を日本に招き入れ、お墨付きを与えたのです。安倍晋三は父の安倍晋太郎も含め、三代にわたって文鮮明を擁護してきました。

安倍元総理が「統一教会」の機関誌「世界思想」の表紙を飾ったのは、2度や3度ではありません。

そしてこれが安倍晋三元首相が「統一教会」の関連団体イベントに送ったビデオメッセージのフルバージョンです。YouTubeで普通に見ることができますので、このブログにも埋め込みました。

この期に及んで日本のマスコミが不可解なのは、山上の動機を語るときに「安倍元総理が統一教会と関係があると思い込んで、銃撃しようと思った」と表現していることです。思い込んで、じゃないだろう。「安倍元総理が統一教会と関係があると言う事実を知って、銃撃しようと思った」とすべきです。

この一連の報道には、かなり忖度された表現が目につき、僕はそれが気にかかって仕方がありません。安倍元総理だけではありません。日本の政治家の実に少なからず錚々たる面々が、「統一教会」と関係を持っているのです。その数僕の知っているだけで100人以上。与党だけではありません。なんと野党もです。共産党以外の野党には、関係を持った国会議員がウヨウヨいます。

なんと初代民主党総理大臣の鳩山由紀夫もそうです。今をときめく国民民主党の玉木雄一郎もです。もう日本の政治家が揃いもそろって「統一教会」の息がかかっているのを思い、目眩がしてきます。日本共産党が入っていないのは、そもそも「統一教会」は「勝共連合」という、共産主義に勝つことを目指したイデオロギーの政治団体と一体になっているからです。「統一教会」のことはよくわからんが「勝共連合」ならいいではないか、という政治家がいっぱいいたのでしょう。ドナルド・トランプも含め。

東西冷戦の時代なら、共産主義に負けないようにしよう、という政治的主張もそれなりに意味がありました。そこに目を付けて、文鮮明は巧みに日本の政界に入り込んだ上で、悪徳宗教をはびこらせたのです。ソ連崩壊後の今、大声で共産主義排除を唱える意味は失われています。おまけに「統一教会」の教義では、韓国を「アダム」日本を「エバ」と呼んで、日本が韓国の下であり、先に罪を犯した、としています。とんだ反日宗教なのです。いつも韓国相手には強気の発言をする右派の政治家が、どうやったらこの反日教義を受け入れることができたのか、どう考えてもさっぱり解りません。

政治家と宗教の闇は深く、その関係は聖徳太子の時代から、いや卑弥呼の時代から複雑に絡み合っています。政教分離といっても簡単ではありません。ただただ宗教に関しては口を閉じてしまうのではなく、私はこれこれの宗教団体と、こういう関係を持っているのだ、と政治家も明瞭に発信して欲しい。私の宗教観はこれこれだ、と堂々と語れる政治家こそ、信頼に値するのではないでしょうか。

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