日本が戦争する可能性が非常に低い理由

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2015年9月19日未明、集団的自衛権が強行採決されました。国会の前には約12万人の方が反対デモを行ったり、また政治ネタはタブーとされていた芸能人からも多くの「反対声明」がツイッター等で流れました。
その一方で、最近、著名な方のご著書で「アメリカからの独立から離れ、日本独自の軍を持つべきだ」との、ご意見もあります。
今後、日本は戦争をする国になるのでしょうか? その可能性については非常に低い、と考えています。
根拠となる理由は、①日本の財政面、②経済大国となったこと、です。まず①の財政から考えると、戦争をするお金は日本にありません。増税したらあるかもしれません。しかし戦争のために増税賛成派の国民は皆無に近いでしょう。戦争は非常にお金がかかります。増税せずに、戦争のお金を日銀に刷られたら、さすがにインフレ(緩やかなインフレではなく)になります。
またもう一つの理由②、経済大国になったことですが、自給自足に近い明治時代と違い、国より大きいのは企業です。例えば中国と戦争をするにしても、ユニクロ、amazonなど、どうするのでしょう。家の中には、中国製のものが多いです。経済が他国依存型になってしまった現代においては経済大国同士は基本的に大きな戦争はできません。
また、ギリシャより、ひどい空前の大赤字をどうやって解消しているのでしょうか。(先日投稿した記事「予測が難しいから成功したアベノミクス」と、内容は重複します。)
日本の空前の大赤字の解消手段は「非伝統的金融政策」です。日銀が1年で80兆円の(禁じ手である)国債の買いオペレーションを行い、国債の保有率を高めています。保有分の国債は、事実上の債権放棄しています。この「禁じ手、非伝統的金融政策はまだしばらく続く」。また、「安倍首相は基本的に中東(ISなど)には関心がない。極右の振りして突っ張っているだけ」とある霞ヶ関関連の学者の会話(注)から聞いています。
以上により、日本は今後戦争する可能性は非常に低いと、私なりに結論を出しました。
(注)インタビューではなく会話です。最終チェックは受けていなく文責は私にあります。
(補足)今後、積極的リフレ派(簡単に書くと積極的にお金刷れ、刷れ)の学者がアベノミクスのチームに入らないか、恐らく可能性は低い、と。しかしお正月あたりに、安倍首相と会談したのがロイターのニュースになり、少し懸念しています。
参考文献
「いま、君たちに一番伝えたいこと」池上彰、日本経済新聞新聞社
「デフレーション”日本の慢性病”の全貌を解明する」吉川洋、日本経済新聞新聞社
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9 comments to “日本が戦争する可能性が非常に低い理由”
  1. 僕も日本が中国と開戦する可能性は、極めて低いと思っています。理由はアメリカが中国と戦争しないからです。日本も経済的に中国と巨大な相互依存関係にあり、関係を握っているのは政治ではなく経済だからです。おっしゃるとおり僕はユニクロを着てiPhoneを使っていますがいずれも中国製です。
    国際安全保障論においては、双方のリーダーが理性的に着地点と戦争コストを考えれば、100パーセント戦争は回避されるとされています。問題はその簡単な計算もできない想定外のリーダーが現れた時です。今のところその心配はなさそうです。北朝鮮も核保有国となっても、それは他国からの援助を脅し取るためであり、実は非常に外交上手な国だと思っています。中国は内政向けに尖閣接近などの刺激策をとり、日本は日本で、愛国心を高めるために嫌韓、嫌中を煽っています。それはお互い様であり、あくまで国内向けのパフォーマンスだと思います。
    戦争が起きるとすれば、いずれかの国が、戦争コストを計算出来ないくらいに、追い詰められ破綻した時です。中国はバブルが弾けたとしても、もともと貧しい暮らしに慣れているので、大した混乱や破綻状態にはならないでしょう。極論すれば、経済大国同士の場合、互いに貧乏になるだけです。むしろ資産の再配分が戦争にとって替わる方法になりうるはずです。

    • 付け加えますと、戦争しないのならオスプレイなどいらないですよね。さらに付け加えると、従来からある戦争ではなくて、テロとインテリジェンスの時代になる可能性があります。誰がどこから仕掛けたのかもわからないサイバーテロや、オウングロウンのテロリストが、もぐらたたきのように登場する。そんな時代に備えなければならないかもしれません。

  2. 杉江さんが書かれている通り、最近はテロと戦争の区別がつかなくなっています。

    CNNの過去のニュースですが
    「世界のテロ動向報告書によると、2014年のテロによる犠牲者は前年より80%増えて
    3万2658人に達し、過去最悪となった」。
    2015年はさらに増え、4万人超です。
    しかしISを相手にしなければ、日本でテロを起こす優先度は高くないと思いたいのですが。
    あと、今後(暴力団化した)大国がIS対策をどうするか、にもよると思います。

  3. テロは、NGOによる寄付金と強奪金を使った戦争。
    戦争は、国家による税金を使ったテロ。
    NGOと国家のかわりに「暴力団・マフィア」を入れると単なる縄張り抗争ということがわかります。
    いずれも敵対勢力同士の殺人と破壊で反社会的行為、つまり「犯罪」です。

    軍事力というのは、刀と槍の時代から、誇示して「戦わずして勝つ」ことを目的としています。それゆえ、軍事パレードやら、演習をして「見せつける=プレゼンス」が重要になり、各国ともこれに力を注いでいます。
    この究極は「核抑止」ということになり、現に北朝鮮の方針となっていることがわかります。

    さて、島国という地勢から見て、日本は戦争を仕掛けるのも、他国が攻め込むのもたいへん困難です。
    軍事的には補給線の確保が難しく、入り組んだ山地が多いため地上戦がしにくいということ。それと、日本を破壊してもなんの見返りもないということになろうかと思います。
    日本の資源は日本人という人間そのもの(人的資源以外にはせいぜい漁業資源ぐらい))しかなく、それは無傷で手に入れなければ機能せず価値はありません。

    しかし海外の市場で日本を排除したいから、日本人とその資産を破壊するという発想は、起きうると考えられます。
    戦争=縄張り抗争とすると、そのリスクが実に危うい緊張の上でギリギリ回避されていることがわかります。
    経済的進出を「縄張りとしのぎ」と言い換えてみれば、ヤクザの行動原理と大して変わらないでしょう。

    日本の領土・海・空で国家所属の軍隊同士が戦うことはまずないでしょうが、他国で戦争・テロ・抗争を仕掛けられることはあり得ますし、それがすなわち現代的な意味での「戦争」であろうと思います。

    • 最新の国際安全保障論によると、「核は抑止力にならない」という考え方が一般的です。オール・ロスだからです。最近の研究はゲーム理論で戦争をコストと考え、コストパフォーマンスで分析します。その結果戦争を防いでいるわけで、核の抑止力が戦争を抑えているわけではありません。

      しかしながら地域限定的な紛争や、代理戦争が通常兵器を用いて続けられている、という現実があります。何処の国も日本を攻めてくるとは、到底考えられませんが、遥か離れたところで起きている他国同士の紛争に、日本が巻き込まれるというケースなら考えられます。

      日本はアメリカと協調して安全保障を保っていますが、これは軍事的なプレゼンスを確保する上で重要です。軍備の増強もまた同じです。しかしこれは逆に、アメリカが戦争を買った時に、日本も同時に買わされるということを意味しています。残念ながら、我が国の安全保障が、アメリカと相互依存関係にある以上、このリスクは無くなることはありません。

  4. 戦争の必要条件として、意図と能力。取りたい、大きくなりたい、と言った意図と、軍事力ですね。十分条件の一つとして機会(チャンス)。中国には意図も能力もあります。チャンスとしては、力の空白です。アメリカが引けば出てきます。アメリカでなくても周辺国が弱体化すれば必ず出てくる。中国に機会を与えないことに集中していくことが平和に繋がります。国境をガンガンに守る必要があるわけです。

    • じせんさんの説は、せっかくですが古い古典的な戦争論ですね。
      国境を挟んだ地域には、つねに緊張が発生するのは、世界中どこも同じです。気にすることはありません。中国が日本に総攻撃を仕掛けてきたら、5時間で中国軍の勝利に終わるというシュミレーションがあります。なのになぜ中国は尖閣諸島を力づくで奪おうとしないのでしょうか。
      それは日本の各都市を誘導ミサイルで破壊するコストと反撃を受けるコストを合わせた戦争コストに加えて、親密な経済協力体制の相手国である日本を失い、アメリカからもなんらかのペナルティーがあることを含めて算盤を弾くと、尖閣諸島を一つ領有するメリットなどはまったく割の合わない計算になります。

      現代の国際安全保障は、このようなバランスの上に立っているのです。

  5. 古いかなあ?現代に起きている戦争は、たいていこの形だと思います。ロシアによるクリミア半島奪取もありました。安全保障がバランスの上に成り立っているのはそのとおりで、そのバランスをしっかりと維持していくことが平和につながります。地域でアメリカの軍事力が衰退すれば、その分の負のバランスを補う必要があります。中国が軍事力を増強しても同じです。これを怠ると容易に尖閣程度は奪取されると思います。ペナルティーに関して言えば、NO1に成ってしまえばほとんど気にする必要がなくなります。

    • ロシアによるクリミア編入の場合は、相手国はウクライナでした。ウクライナは軍事的な要衝ではあるけれども、最近は民族分裂を起こしてまともな統治がなされず、いわゆる破綻国家状態でした。ですからロシアはクリミアを奪取するのに、ほとんど戦争コストをかけていません。このような例は、日本と中国のように、互いに多額の戦争コストを伴う経済大国同士の例とは、まるで関係がありません。いちいち中国の挑発に乗らないほうが良いですよ。

坂井万利代 へ返信するコメントをキャンセル

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