安保関連法案は「可決」したけど今は「効力がない」はずだ

参議院安保みなさん御存知の通り、平成27年9月19日未明、安倍内閣は武力行使を伴う集団的自衛権を認める内容の、安保関連法案を参議院本会議で可決・成立させました。これを受けて、自衛隊をはじめとする公務員は、今後どのように振る舞えば良いのでしょうか? 法律が施行されれば、その日から公務員は各自、それに従って仕事のやり方を変えなければならないのでしょうか。いいえ、決してそんなことはないはずです。

法律というものは可決・成立したうえで施行し、発効するまでは、何の効力も持ちません。それまでは、ただの内閣が作った文章に過ぎません。「施行」というのは政府がこの法律を使うと宣言することで、「発効」というのはこの法律が実際に有効になることです。この法律はまだ「発効」していないから、実際には適用できないということです。「発効」するには、その法律を「施行」し、かつ「憲法第98条により有効化」される必要があります。

そもそも自衛隊が海外へ出て行って、海外で国債紛争を解決する手段として武力を行使するという法律は日本国憲法第9条に明らかに違反しています。

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

したがって海外で国債紛争を解決する手段として武力を行使するという法律は第9条という条規に反する法律であるため、次の憲法第98条にあるとおり効力を持つことができません。

第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

つまり「条規に反する法律」に該当し「その効力を有しない」法律ということになり、ペンディングになっているからです。憲法をなめてはいけません。憲法は法律の法律であり、憲法は国会よりも内閣よりも最高裁判所よりも上にある存在で、なんと天皇よりも上なのです。もちろん総理大臣なんかよりずっと偉いのです。

ではさっそくですが、個々の自衛隊員や警察あるいは裁判官や政治家をはじめとする個々の公務員は、どの法律に基いて明日から仕事をしていけば良いのでしょうか。それは効力を持たない新しい法律など無視して、今までどおりに憲法と各法律を守って仕事をすることです。あわてて新しい法律に従ったりしたら次の条項に違反し、逮捕されるはずです。

第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

さて、これまでの文章の中に僕は「はずです」という表現を何箇所か使いました。断言をさけた理由は、このブログに書いたとおりにならない可能性もあるからです。それは憲法第99条にあるように憲法を守るべき国務大臣が、ずばり言って安倍政権が、憲法を無視し、自らが憲法より上の絶対的権力であることを宣言し、ファシズム国家を走りはじめたらば、例外となるからです。安倍政権はいずれ憲法を改正するつもりだと言っているので、改正したらその時点から今回の新しい法律は効力を持ちます。それまでは今までどおりの法律が有効だと信じて、僕は日々を過ごしていくつもりです。

もし安倍政権が憲法違反のまま自衛隊を不法に動かそうとしたら(想像するだけでも身の毛がよだつ話ですが)、それが意味するところは、安倍政権がファシズム政治を発動し、日本にクーデターが起きた証拠だということができます。戦後史上70年にして初めて、自分は憲法よりも天皇よりも偉いと考える首相が誕生する、恐ろしい瞬間です。国民に選ばれた自民党が選んだ首相だから、そんな恐ろしい事態にはならないよう、信じて行きたいものです。

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9月27日追記:昨日書いたこのブログ、憲法解釈がぶっ飛んでるのを承知で、あえて載せてみたのです。みなさん何とも思いませんでしたか? 政府の解釈とは全然違うし、マスコミでも「可決・成立」と決め付け「効力を有しない」なんて誰も言っていません。自分で書いておきながら言うのもなんですが、非常にイノセントな憲法解釈です。現実はそうはいかないよ、と大人のツッコミが入って炎上するかと思っていたのですが。。。

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