自民党 NHKとテレ朝の幹部を呼び聴取へ

1280px-Japan_LDP_HQもしもし、なんで自民党なんですか? 放送に関する行政指導なら総務省(かつては郵政省)の担当ではないのですか?

自民党が17日にNHKとテレビ朝日の経営幹部を呼び、最近問題となっている報道番組の内容をめぐって、直接、事情を聞くことが分かった。複数の関係者によると、自民党の情報通信戦略調査会は、NHKからは「クローズアップ現代」でヤラセが指摘されている問題について、また、テレビ朝日からは「報道ステーション」でコメンテーターの古賀茂明氏が一方的に政権批判したことについて、話を聞く方針。特に「報道ステーション」をめぐっては、古賀氏が菅官房長官を名指しして「バッシングを受けた」と一方的に述べる展開となった点などについて、第三者も加えた検証の必要性などをただすものとみられる。

政治とメディアの関係に詳しい上智大学の音好宏教授は、こうした自民党の異例の対応について、「政権・与党側がメディアを呼びつけるのは、成熟した民主主義の中では、相当注意しなくてはいけない」と述べた。また、「政治的なパフォーマンスと考えているかもしれないが、国民からは支持されないだろう」と指摘している。(日テレ24)

 NHKのケースとテレビ朝日のケースでは、まったくレベルが違って、一緒くたにして呼びつけるのもなかなか横柄な態度だと思います。NHKのクロ現のヤラセ疑惑は、いわゆる誤報の範疇だし、テレ朝の場合は思いっきり現政権批判であり、質的にもまるで異なります。クロ現の方はまだ調査中で結論は出ていませんが、いわゆる民間の詐欺事件を扱った際に、細部の事実確認が甘かったことですから、謝罪して訂正すればすむ話です。調査中なのに結果を待たずに呼びつけるというのがわかりません。テレ朝の方は政治的な問題であり、いわゆる古賀茂明氏が言論統制を受けたか受けなかったか。つまりマスコミが時の政権から独立しているのか、支配されているのかという、非常に重要な問題です。

 

古賀氏と菅官房長官の話がまったく食い違い、言った言わないの水掛け論になる恐れもありますが、僕に言わせれば、そんなことくらいでマスコミを呼びつけること自体が、極めて異例なことで、マスコミに無言の圧迫感を与え、萎縮させ、政権批判をしにくくする行為だと思います。

 

安部政権は昨年末の衆議院議員総選挙の時にも、在京マスコミ各社に対して自民党は釘を刺すような要請文を出しました。あの時も行政府ではなくて、自民党が出したものです。報道機関はいかなる権力や脅しにも屈しないで、公正中立と編集権の独立を守らなければなりません。時の権力の支配下にあっては、北朝鮮や中国のように、政権の宣伝機関になってしまいます。戦前から戦時中の日本がそうで、大本営発表をそのまま放送していました。

 

マスコミ各社は政府に、いや一政党にどんな脅しをかけられても、決して威圧感を感じることなく、むしろ反発精神で批判を強めるくらいのジャーナリズム精神を持ってもらいたいと思います。

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4月18日追記:朝日新聞4月17日

自民党の情報通信戦略調査会(会長=川崎二郎・元厚生労働相)は17日、テレビ朝日とNHKの幹部を呼び、両放送局の報道番組の内容について事情聴取した。自民党は特にテレ朝の「報道ステーション」で、コメンテーターが菅義偉官房長官を名指しで取り上げたことを問題視。党幹部は同日、放送倫理・番組向上機構(BPO)への申し立てを検討していることを明らかにした。

調査会には、テレ朝は福田俊男専務取締役が、NHKは堂元光副会長らが出席。冒頭、川崎氏は「真実が曲げられた放送がされた疑いがある。そのことについて自律性を持って、(テレビ局が)どう対応しているか、話を聞きたい」と述べた。その後、調査会は非公開で両放送局幹部から事情を聴いた。

調査会が問題視するのは、テレ朝では「報道ステーション」でコメンテーターの元経済産業省官僚の古賀茂明さんが「菅官房長官をはじめ、官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきた」などと発言した点。NHKについては、「クローズアップ現代」で「やらせ」が指摘されている問題。

ただ、個別の番組について事情聴取することには、自民党幹部の中にも「報道機関に圧力をかけていると受け取られかねない」といった慎重な声がある。このため調査会では、テレビ局側の説明を聞いた上で、事実関係などを確認するような質問にとどまった。

会合後、テレ朝の福田専務は記者団に「経緯や事実関係について、誤解が生じていたら困ることもあるので、良い機会として出席した」と述べた。自民の川崎氏は「放送法違反に当たる真実でないことが放送された。今後も小委員会を立ち上げ、BPOの意見も聞かせてもらう」と語った。一方、民主党の高木義明国会対策委員長は会見で「政権与党がテレビ局幹部を呼ぶのは、一歩間違えば、報道の自由を侵すものだ」と批判した。

4月18日追記:朝日新聞

複数の調査会メンバーは、党がテレ朝だけに政治的な圧力をかけたと思われないよう、「やらせ」問題を抱えたNHKも一緒に呼ぶことにしたと明かす。

自民は今後、NHKと民放で作る第三者機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」へ申し立てを検討する。党幹部の一人は、仮にBPOの出す勧告や見解が甘いとみれば、「身内組織のBPOでは役割を果たせない」として「不要論」を持ち出し、政府が直接、抑え込むことができる展開も描く。

なんとNHKの幹部は、テレ朝の古賀氏発言の、いわばカムフラージュとして呼びつけられたのだという。自民党内にも先の衆院選で注文をつけたと批判されている中、「(自分なら)呼ばない」と言う幹部党員もいるという。まったく政権与党なんだから堂々とBPOにまかせておけばいいのに、よく吠える。党の情報通信戦略調査会(会長=川崎二郎・元厚生労働相)とかいう会は、相当に時代遅れな戦略を立てているようだ。

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4月24日追記:池上彰さんは次のように述べている。>(池上彰の新聞ななめ読み)テレ朝・NHK聴取 自民こそ放送法違反では:朝日新聞デジタル

http://www.asahi.com/articles/DA3S11721214.html
これが欧米の民主主義国で起きたら、どんな騒動になることやら。放送局の放送内容に関して、政権与党が事情聴取のために放送局の幹部を呼び出す。言論の自由・表現の自由に対する権力のあからさまな介入であるとし…

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