ソ・テハという男(北朝鮮特別調査委員長)

どんな男なのか、僕は全く知らない。でもどうやらその男にかけるしかなさそうであります。(写真は北朝鮮の宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使)

北朝鮮拉致被害者問題を解決するには、北朝鮮のスパイ活動について決定的な権限を持った人物が出てきて語らなければ、どうしようもありません。今までの日朝間協議では、その肝心な部分が抜け落ちていた。それがずっと気になっていました。今回、特別調査委員会は30人程度で構成され、主要なメンバーは、秘密警察に当たる国家安全保衛部や、一般の警察に当たる人民保安部などの幹部によって構成されています。

また今回の特別調査委員会のトップである委員長には、国家安全保衛部のソ・テハ副部長が指名されています。4つ設置される、調査のための分科会のうち、日本政府が認定している拉致被害者に関する調査を担当する責任者には、国家安全保衛部の局長が指名されています。さらに、行方不明者を担当する分科会の責任者には、人民保安部の局長が指名されています。住民登録台帳を管理している部署の局長からスパイのトップまで顔を連ねるという、2014年7月の日朝間協議に臨む特別調査委員会の顔ぶれを見る限り、拉致被害者の行方がわからないということはないはず。

僕はかなり期待してしまいました。日本政府も相当な期待を寄せたからこそ、制裁措置の一部解除を認めたのでしょう。でも逆に言えば、これだけのメンツを揃えておいて、それでも拉致被害者の帰還がなされない、あるいは行方がわからない、などということになったら絶望的でもあるわけです。もはや王手をかけているわけですから、詰んでもらわなければ困ります。両極端の可能性が、今、僕の頭のなかを交錯しています。

直感ですが北朝鮮にとっても、中国に見放された今、これ以上情報を小出しにするメリットはない気がします。ということは本気でこの際拉致被害者問題を解決してしまい、制裁解除への道を選択するのではないでしょうか。普通の感覚で言えば、国際安全保障の定石としてもそう考えると思います。ソ・テハという男は本当に中枢にいる人物であることはどうやら間違いがないのですが、どんな人物なのかは僕のところへ情報としては今のところ入ってきません。それが非常に不気味ですが、ともかくビシッと決めてもらいたい。安倍政権の腕の見せどころです。今度ばかりは空振りは許されません。

7月4日16時追記 読売新聞ソウル吉田敏行さんからの情報

北朝鮮の特別調査委員長に就くソ・テハ氏は、大臣級以上の実力者ともされるが、人物像は謎に包まれている。 北朝鮮の内部事情に精通する複数の韓国政府関係者も「わからない」と口をそろえる。公表された肩書は、国防委員会安全担当参事兼国家安全保衛部副部長。北朝鮮の権力構造に詳しい李英和・関西大教授によると、金正恩第1書記が直轄する「秘密警察」の保衛部には、複数の副部長がおり、日本や米国などそれぞれの担当がある。国家安全保衛部内では副部長が実権を握っているという。副部長は「事実上、大臣級以上の実力者」と評価する韓国の専門家もいる。

7月5日8時追記 時事

ソ氏は朝鮮人民軍(KPA)出身。北朝鮮指導者の動向を注視する専門サイト「ノースコリア・リーダーシップ・ウォッチ」を運営するマイケル・マーデン氏は、ソ氏が、2011年に粛清、処刑された柳敬(リュ・ギョン) 国家安全保衛部副部長(当時)の後継者の一人であることを明らかにした。柳氏は2002年の日朝首脳会談で田中均・外務省アジア大洋州局長(当時)の交渉役を務めた「ミスターX」として知られる。ーデン氏はその上で、国家安全保衛部での「副部長」という肩書がメディア上や外交時での対外的に用いられる役職名に過ぎず、実態が伴っていない可能性も示唆した。また、ソ氏は、他の国家安全保衛部の幹部と同様、朝鮮人民軍での階級を有しているが、KPA参謀本部や人民武力部の指揮命令系統には入っていないという。70歳前後。

日本経済新聞

朝鮮中央通信が報じた特別調査委の主要メンバーの漢字表記は次の通り。
【委員長】徐大河(ソ・テハ)国防委員会安全担当参事兼国家安全保衛部副部長
【副委員長】金明哲(キム・ミョンチョル)国家安全保衛部参事、朴永植(パク・ヨンシク)人民保安部局長

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2 comments to “ソ・テハという男(北朝鮮特別調査委員長)”
  1. 今回のキーパーソンとなる、北朝鮮拉致再調査特別調査委員長「ソ・デハ」氏についての情報をお持ちの方は、ぜひご協力ください。どんな些細な情報でも結構です。よろしくお願いします。

  2. やっと今日会えたみたいですが、あくまで「ソ・デハ」と自称する人物というだけでした。北朝鮮の既出の人物画像から、同一人特定ができて、序列とかが判ればよいのですが。

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