病院のおきて

年末に救急車で運ばれて、僕自身生まれて初めての入院生活とやらを経験したもんだから、今年最後の日記は、とんだ入院体験記になってしまいました。

僕自身の病状は腸閉塞のなりかけみたいなもので、2週間で退院したので、これはまあ詳しく書いても仕方がないので割愛します。
それよりもなによりも僕にとってインパクトがあったのは、なんといっても自分自身が入院するという、48年生きてきて想像もしてみなかった体験です。
病棟というところは誰かを見舞いに行くところだったのです。
そんなのんきな気分で過ごしてきた人間にとって、入院は目から鱗がおちまくる衝撃的な体験でした。

病棟というところは、監獄とホテルを足して2で割ったところです。
まず一切の自由がない。
これは僕みたいな性格の人間にとって耐え難いストレスです。
懲役刑よりも禁固刑のほうがヒマな分ツライという話を聞いたことがありますが、とにかくヒマヒマの刑にさらされます。
一方据え膳下げ膳、一日に3度の食事と、可愛いナースによる体ふきふきのサービスがあります。ホスピタルというだけあって、ホスピタリティーには申し分がないともいえます。

そんなアンビバレンツな環境にあって、自分自身がうんうんうなるような重症じゃないとなりますと、意識はどうしても他の入院患者の様子に集中してしまいます。
それがまた半端じゃない。
僕が観察した病棟では、いわゆる「認知症の要介護高齢者」が主でした。
一晩中つづく雄叫び、阿鼻叫喚、動物のような鳴き声。。。
「認知症の要介護高齢者」の介護を体験した人には釈迦に説法ですが、なにしろ僕はそんなもの文字面でしかしらない、のんきな立場でいままできましたものですから、はっきりいってカルチャーショックでした。

介護とはなにか。
老いるとはなにか。
人間の尊厳とは。

はじめて深く考えさせられました。
老老介護の問題、独居老人の問題、やっと考える土俵にたてた貴重な体験。

そしてもう一つカルチャーショックなことがありました。
病院では3度の食事が据え膳下げ膳なのですが、お箸は自前だそうです。
「持ってきてないの?」とナースにあきれかえられました。
いろんなおきてがあるもんですね。
そんなこといっても、救急車に担ぎ込まれるときにマイ箸を握りしめて乗る人がいるんでしょうかねえ。
人生、何事も体験です。

良いお年を。

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