「公務の負担軽減」だと?天皇陛下はそんなこと願ってません!

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「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」ですと? 10月17日に初会合が開かれた、安倍政権の招集した有識者会議の名称を聞いて、僕は愕然としました。あまりにも天皇陛下のご意向を無視した、陛下を悲しませる方向へ、安倍首相が問題をねじ曲げようとしていることが、会議の名称から明らかになったからです。天皇陛下は恒久的な「生前退位」(譲位)の仕組みをお望みなのであり、公務の負担軽減など希望しておられないのです。

そもそもこれは、8月8日に天皇陛下自らが「生前退位」のお気持ちをビデオメッセージで示されたことを受け、国民の立場から国民の代表である政府や国会がおもむろに動き出したものです。ビデオメッセージは「憲法に定められた象徴としての勤めを十分に果たせる者が天皇の位にあるべき」というのが主な趣旨で、ご公務の負担を軽減してほしい、などとは一言もおしゃっていません。

ご公務の負担を減らすことでなんとか対応し、ご存命のうちに天皇の位を皇太子に譲る「生前退位」は避けよう、というのはこれまで政府や宮内庁がとってきた手法ですが、それでは不満であるとおっしゃっているのです。そのお気持ちが、安倍政権によって完全に無視されました。平成の玉音放送とも言える天皇陛下のお言葉に、真っ向から逆らった方針を、安倍政権は取ろうとしています。

宮内庁のホームページに、「おことば」の全文が掲載されているので、もう一度読んでみて下さい。

「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」全文はこちらから

陛下はご公務の負担軽減どころか、高齢化にともない、

,これまでのように,全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが,難しくなるのではないかと案じています。

と、今後とも、全身全霊をもってご公務にあたりたい意欲をにじませています。天皇の国事行為のみならず、災害にあっては全国どこへでも足を運んで被災者に寄り添い、すべての国民と心を通わせ、祈ることが象徴としての天皇のあり方だと、その重要性を強調しておられます。これらの公務を縮小する、といった対処の仕方については、

天皇の高齢化に伴う対処の仕方が,国事行為や,その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには,無理があろうと思われます。

と、ハッキリ否定しておられます。公務の負担軽減ではダメだとおっしゃっておられるのです。それなのに「公務の負担軽減等に関する」有識者会議という名称をつけた安倍政権は、逆賊と言わざるを得ません。さらに天皇の地位はそのままにして、摂政を置く手法についても、

天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし,この場合も,天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま,生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。

と、これまた良くない方法だと否定されています。すなわち公務の負担軽減でも、摂政を置くのでもない、生前退位(譲位)という道しか無いことを明言しておられます。また高齢化しても生涯天皇としての位を維持することには、皇室としての問題があることも指摘しています。大喪の礼と、新天皇の即位の礼の、二つの大掛かりな儀式が同時に行われることが、皇室にとって大きな負担となり、国民にとっても損失であることも案じておられます。この二つの儀式を時期をずらして行うには、やはり生前退位しか道がないことが、おことばからにじみ出ています。

その後喪儀そうぎに関連する行事が,1年間続きます。その様々な行事と,新時代に関わる諸行事が同時に進行することから,行事に関わる人々,とりわけ残される家族は,非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが,胸に去来することもあります。

つまり、天皇の口から法律改正に関する発言はできないので婉曲的になりましたが、事実上は皇室典範という法律を改正して、生前退位(譲位)できるようにしてほしい、とズバリおっしゃったと言えるでしょう。その後の国民への世論調査でも、90パーセントの国民が「ご高齢なのに生涯勤めを強いられるのは気の毒だ。生前退位を認めてあげたい」と答えています。

僕はNHKがスクープとして、生前退位のご意向をニュースで報じ、「天皇の生前退位のウワサと真相」という記事を書いた時から確信していました。これはもうご公務の負担軽減などではなく、皇室典範の改正を、国会で議論するしか無いだろうと感じていたのです。それだけに今回の、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」という名称を聞いたときには、我が耳を疑ったのです。安倍首相は、まだ生前退位(譲位)を議論せず、ご公務の負担軽減で対処しようとしている。とんでもないことです。

こんな名称の会議が開かれたことを知って、天皇陛下もさぞやガッカリしておられることでしょう。背景には生涯天皇制を維持したい、「日本会議」の意向もあるように思えます。日本会議としては、天皇は現人神であり、生きてさえいれば天皇であり続けるべきだ、という思想信条を変えることはできないのでしょう。結果的に、天皇陛下に謀反を引き起こす、逆賊と成り果ててしまったようです。

僕に出来るなら、天誅を安倍首相の頭上に突きつけたいところです。

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4 comments to “「公務の負担軽減」だと?天皇陛下はそんなこと願ってません!”
  1. 集団的自衛権を含んだ安保法制のときは、大多数の憲法学者が「憲法違反」と断ずるのをがっつり無視した政権であるのに、ここに至って国政に関する権能を有しないという憲法を厳格に適用するんだ。
    一貫しない。

    • そうですね。憲法によると天皇は、その地位は国民の総意に基づく、ということですから国民的議論に発展すれば良いと思います。まあ国民の代理人である代議士が議論するのでも、筋としては間違っていないとは思いますが。

  2. 有識者会議のヒアリング対象者がけっこうひどいですね。櫻井よしこなんか呼ぶなよ、といいたくなります。
    「皇太子=摂政」で良いなど、あなた方は天皇陛下のお言葉をちゃんと聞いたのか?天皇家大事と言いながら将来同じ問題に直面することに顔をそむけるのか?
    なんだか、普段は「天皇制を否定する非国民」と櫻井さんなんかから唾棄される左翼系識者の方がよほど陛下の意向を汲んで現実的な危機感を陛下と共有している気がします。

    • この有識者会議は、名前もひどいけれどメンバーもひどいですね。櫻井よしこなんか、いつも天皇陛下大切な発言をしているくせに、いざとなると天皇陛下が「摂政ではダメだ」と言ってるのに、真っ向から逆らって「摂政を置く案」を提唱するとは、まさにあんたが非国民やで、と突っ込みたくなります。

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