ヒラリー対トランプ、対ISの見解の違い

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Hillary&Trump

先日、私が投稿した記事で、今後のIS対策が、より踏み込んだ空爆と地上戦の組み合わせになると書きました。また、今年の秋は、アメリカの大統領選です。その一つの山場となる「Super Tuesday」で、民主党は元米国務長官ヒラリー・クリントン、共和党はドナルド・トランプが勝利しました。「Merry Christmas」発言 注)の、トランプが共和党の第一候補となる可能性が大きくなりました。トランプに関しては、去年末に杉江さんが記事を書かれている通りで、私から見ても、お調子者で大変景気が良い、チンピラおじさまにしか見えません。11月のアメリカの大統領で、一つの争点となるのは、IS対策です。
ヒラリーとトランプの、ISの見解の違いは、以下になります。

ヒラリー「我々はISに関する優れた情報を入手する必要はある。その情報を基に、ISの指揮統制と経済的ライフラインを破壊する。ISを妥当するためには、空爆と地上戦をの活動をうまく連動する必要がある。イラクとアフガニスタでの15年に及んだ戦争の教訓とは、現地の社会を守るのは現地の人々と国でなければならない。それでも、その任務を試みる現地および地域的な軍隊を支援することは不可欠だ。だが、一方で、イスラム教徒が我々の敵でないことをはっきりさせておきたい。イスラム教徒は平和的で寛容な人々で、テロとは全く関係ない」。

トランプ「イスラム教徒のヘイトが理解を超えていることは誰の目にも明らかだ。我々が決断し、この問題と危険を理解できるまで、過激思想のみを信じ、良識も人命尊重の意識もかけらもない人々の恐ろしい攻撃で、我が国を犠牲にすることはできない。もし私が大統領選で当選したら、アメリカを再び偉大な国にする」。

ヒラリーと違い、トランプは、「敬虔なイスラム教徒と過激テロ組織ISの違いの認識」が全くありません。

また、ヒラリーは地上戦について「多くのスンニ派の部族がISとの戦いに参加しない限り、地上戦は成功しない。重要なのは『自分達の国への影響力を持ち、ISとの対決状況の中で自分達の治安を守る戦闘能力に自信を持てない限り』スンニ部族が立ち上がることはないだろう。我々は『スンニ派の覚醒』の基盤づくりを試みるべきだ」。

上記からすると、トランプが仮に大統領になったら、世界中が政治的大混乱になる可能性大です。それに及び、IS対策がさらに深刻になると、考えています。IS対策が、地上戦というより踏み込んだ難しい措置を取るにあたり、ISと敬虔なイスラム教徒の違い、また、イラク等15年に及んだ戦争の教訓から本来はアメリカが踏み込みべきではない、と前提を設ける、ヒラリー・クリントンに大統領になってほしい、というのが現時点での私の希望です。

また、憲法学者の長谷部恭男教授によると、昨年の9月未明に成立した集団的自衛権で「怖いのは、今までは『憲法で禁止されているからやりません』と言えたのに、これからは『協力も可能ですが政府の判断でやりません』となり、日米関係が傷つくのではないか」と、懸念される説があります。さらに、元内閣官房副長官補の柳澤協二さんよると、「陸上自衛隊の現有勢力を派遣可能な部隊規模は一個大隊600人程度で、対テロ戦争の局面を打開できるほどの力はない」との事なので、集団的自衛権を廃案にしてもよいのでは、と私は考えています。

注)アメリカではクリスチャン以外の他教徒に対し、敬意を払うため、クリスマスでは「Happy Holiday」が習慣です。
参考文献:「Foreign Affiars Report」2016 No.1,p70~80
「安保法制の何が問題か」長谷部恭男、杉田敦(編)、岩波書店、p11,P162

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14 comments on “ヒラリー対トランプ、対ISの見解の違い
  1. トランプ候補は、州単位では勝っているのですが、獲得代議員数では「圧勝」ではありません。けっこうクルーズ候補と競っています。クリントン候補がサンダース候補にダブルスコアの差をつけているのと対照的です。

    私は、共和党2位のクルーズ氏が薄気味悪い。彼は白人・聖書原理主義者という、思想的支持背景をもっています。ほとんどKKKあたりに近いと考えてもよいでしょう。
    トランプ氏に政治経験がないのと反対に、彼は政治世界に確かなネットワークを持っています。共和党代表戦を通じ、彼はトランプ候補から「ポピュリズム」を学んだはずです。
    ISを徹底的にたたき同時にロシアにもアメリカがまだ健在であること、中東世界でアメリカのプレゼンスを示す(あわよくば原油価格コントロールに手がかりをつけるためにも)ことが、白人共和党支持者の人気をとれることも学んだでしょう。
    政治的ネットワークとテクニックを持っている彼は、もしトランプ候補を逆転しヒラリークリントンを蹴落として大統領になったら、たぶん冷徹にこれを実行しそうな気がします。
    場合によってはイランとの関係の再緊張も辞さず、中東の不安定状態を維持しよう(アメリカの武器が売れる)さえするかもしれません。
    日本への「対ISへ応分の負担」も強く求める可能性があると思います。彼のような人物のその豊富で堅固な「政治経験」が不気味です。

  2. 桝本さんご教示いただき、ありがとうございます。
    6日のNHKのwebニュース「米共和党 トランプ氏とクルーズ氏ともに2勝」。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160306/k10010433431000.html

    クルーズ候補は、一見気弱そうなのに過激思想で、またこんな
    ニュースもありました。
    「2013年9月にはオバマケアへの予算拠出反対を訴え、歴代2位の
     21時間19分という長時間演説を続けたのは、驚異的でした」。
    またクルーズのIS対策ですが、「シリアをじゅうたん爆撃する」。

    共和党の第一候補、第2候補、どちらも大統領選では棄権して
    いただきたいです。

  3. >朝日デジタルの記事。

    共和党の現段階での第1候補、第2候補より、だいぶ、ルビオ候補は
    まともに見えます。
    しかしルビオ候補の「尖閣諸島は日本の領土だ」。これは日・中関係の
    問題です。ヒラリーはその点を踏まえていると思います。
    私が在米(NY州のRochester)期間、2004年秋~2005年春より、
    移民を警戒しているのは明らかです。

    あと、今日、大阪大のSさん(専門は政治学、行政学)にお聞きしたの
    ですが、やはり、ISの終末論、最後の審判日は核兵器が定説です。

    以前、桝本さんが書かれていたように、ISはテロ組織なので、国際法
    で保護も出来ず、またISも国際法(核兵器は禁止)を守りません。

    「地上戦になる問題としては、まずI地上戦になると、ISは黒い装束、
    ターバンを捨て、民間人と区別がつかなくなる。
    その一方で米軍等は軍服を着るので、瞬時に狙われやすくなる。
    地上戦は泥沼になるだろう。
    しかし、彼らの終末論に過剰反応してはいけない。

    また、アルカイダですが、ビン・ラディンと副官のアイアン・サビディは、
    敬虔なイスラム教徒は敵でない、との考えだった。
    ISの前身(ISIS)を率いたザルカウィは、斬首シーンの撮影と公開
    を広め、アルカイダを驚愕させた」。
    (お聞きした話と、Foreign Affairs Report,2016,N0.1p,82~83より)

  4. どこまで本当かわかりませんが、トランプ氏は「アベは米国経済の殺人者だ」と言っています。円を異常に下げたとか、ケネディ大使を接待漬けにしていうことを聞かせている、とかとにかく米経済の低調を日本の責任として押し付けてくる人です。

    国益(僕はこの言葉が好きではないのですが)を考えると、やはり親日派の大統領になってもらいたいものですね。

  5. >地上戦になる問題としては、まずI地上戦になると、ISは黒い装束、
    >ターバンを捨て、民間人と区別がつかなくなる。
    >その一方で米軍等は軍服を着るので、瞬時に狙われやすくなる。

    これが現代の地上戦(ゲリラ戦)の最大の弱点でしょう。

    僕は最後の審判日が、核戦争によるものだとは、なぜか思えません。アルカイダの手順書によると、2016年からが全面戦争で、2020年に完全勝利となっているからです。
    彼らは「イスラム」対「反イスラム」の構図に持って行きたいので、トランプ氏のような発言は、渡りに船と歓迎することでしょう。そして今は敬虔なイスラム教徒も、自分たちのような過激派に同調するのを求めるでしょう。差別は大敵です。長い目で見てテロを撲滅するには、格差社会の是正とイスラム貧困層への行き届いた教育が必要だと思います。

  6. >「満期が来た国債は、元本返済が不要」のカラクリ

    (85年のプラザ合意を思い出します)。
    共和党の第一候補、第二候補は、大統領の器とは思えません。

    アベノミクスの最初の一本の矢(日銀の国債の事実上債権放棄)
    については、「誰も(どの国も)損をせずに財政赤字を解消している」
    と、いう点では、評価するものがあると考えています。
    (日本が財政破綻をしたら、アメリカ、中国、多くの国に影響を及ぼし
    ます)
    事実上の債権放棄については、「異次元緩和の「都市伝説」のカラクリ」。
    http://toyokeizai.net/articles/-/66165

    >僕は最後の審判日が、核戦争によるものだとは、なぜか思えません。
    >アルカイダの手順書によると

    私もそう期待したいです。これからの地上戦でさえ最悪の事態だと
    考えています。怖いのは、ISが大学の研究所に入り、核物質を盗み
    出していることです。(どうか拉致などしないよう)

    • ISがプルトニウムやウランといった核物質を手に入れたからといって、すぐには核兵器としての実用化は難しいでしょう。北朝鮮が何度も核実験を繰り返しているのと同じです。

      1)核物質から核兵器を作る
      2)大陸間弾道ミサイル(衛星打ち上げ用宇宙ロケットと同じ技術)が必要
      3)核兵器を核弾頭にするために小型化しなければいけない。

      これらが揃って、初めて核ミサイルによる攻撃が可能です。
      核保有国は、米、英、仏、露、中、イスラエル、ですがイラン、イラクも実用化されていると言われています。ISが中東で彼ら技術者を拉致する可能性もあります。またインドとパキスタンも実用化が確実視されており、パキスタンにはタリバンがいます。タリバンがすでに実用化された核兵器の技術を、ISに持ち込まないとも限りません。

  7. ミサイルがないと核兵器が使用できないという固定観念を私ならつきます。
    核兵器をパーツに分解して、人間が目標となる都市にはこび、組み立て、時限起爆装置で起爆する。核爆発は不完全(部分的な臨界)でも、放射能汚染で十分戦果があがる。

    一度これが成功すれば、2発目の脅威はたとえハッタリだとしても威力十分でしょう。核の脅威とはこの「2発目」の脅威に他なりません。

  8. >ISがプルトニウムやウランといった核物質を手に入れたからといって、
    >すぐには核兵器としての実用化は難しいでしょう。

    杉江さん、ご教示いただき、ありがとうございます。

    実用化が難しい、と知って、現状ではまだすぐに核兵器になることは
    ないと知り、まず一安心しました。
    (ただ、身内の職場でも、終末論は核兵器と定説になっています。)

    怖いのは、ISのプロバカンダ(政治的宣伝)で、ネット上に終末論が
    拡散していることです。また地上戦になるのは、間違いないと
    思います。それにより、憎しみと悲しみの連鎖が続きます。

    私もISの彼らが移民で差別を受けずに、教育を受けられていたら
    こんな悲惨な事態にならなかった、というのは同意見です。
    移民の受け入れは人道的立場から行うのが前提ですが、実情は
    労働力の確保になっています。

    また、IISは多くの大衆に語りかけ(かっての原理主義者ではなかったことです)
    それに共感、または同情するテロ組織が多くいることです。
    しかしそれに対して「過剰反応してはいけない」。ジャーナリストの
    ヒシャム・メラスの言葉です。

    >アルカイダの手順書によると、2016年からが全面戦争で、
    >2020年に完全勝利

    昨日、ここを見逃したのですが、アルカイダの手順書は、ISが
    遵守しているのですか?もしよかったらご教示いただけなら幸いです。

    少し話がそれます。
    「ISは虐殺と宗派間抗争を煽るのに、アルカイダの副官は何度も
    促したが、効果はなかった」。Foreign Affairs Report,2016 N0.12
    p83より   アルカイダも怖れた、ISの虐殺です。

    私は約10年前(9・11の後です)。にアメリカで住居ビザを取りました。
    私がしるアメリカ(正確に書けば、NY州の田舎)は、移民に対し、
    敬意をもって接します。皆、移民という自覚がそこそこあります。
    今はだいぶ状況が変わったようですが、それはISがアルカイダと
    比べて脅威なんだと考えています。

    あと投稿のタイプミス。注)の箇所の「Happy holidays」です。
    感謝祭~クリスマスの後の年末まで。

  9. >脅威はたとえハッタリだとしても威力十分でしょう。

    桝本さんが指摘されているとおりで、ハッタリだとしても
    脅迫としては、標的となる国はたまったものではないと思います。

    オランド大統領の「戦争状態」は単なるレトリックではないのです。
    世界中に協力を求めたいのです。
    「Foreign Affairs Report」,2015 N0.12,p21より

    ISのプロバカンダはネットで、リツイートを繰り返し、広まっています。

    また、米外交問題評議会シニア・フェローのフリップ・ゴードンが
    「航空管制官を送り込めば空爆の効率は改善するが、一方で管制官
    がISに捕らえられ残虐な方法で殺害されればどうなるだろうか」。
    今後、核兵器を作れるエンジニア、研究者も捕らえられる可能性が
    あるのが、脅威なのだ、と考えています。

    ただ、あまり脅迫に脅かされるのも、全体主義を煽ることにもなります。
    ですので、冷静に過剰反応してはいけない、というのも確かなことだと
    思います。

  10. 北朝鮮よりISのほうが悪質な理由としては、以下のものです。

    「北朝鮮に日本を攻撃する能力はあっても、ミサイルや核兵器の
    数なら、ロシア、中国のほうがはるかに上である。
    また『金正恩第一書記が日本攻撃に言及したことはなく、現状で
    戦争の意思はないと考えられる』。拉致問題は戦争ではなく、犯
    罪である。粘り強い日朝交渉を続ける以外に解決の意思はない
    だろう」。

    「安保体制の何が問題か」岩波書店のp202、半田滋さんの記述
    により。

    ISはターゲットを明らかにしています。

  11. トランプ候補が「対IS作戦に戦術核の選択の排除しない」と発言。
    大統領は、アメリカ軍の最高指揮官でしょう。こういう軍事音痴はいかがなものでしょうか。戦術核兵器は的戦力が集中しているところを叩くために使うもの、分散しているテロ組織のどこを狙うんだい?って感じ。
    核兵器の不発率が0%ということはないので、ISにまたとない「宝物」を贈ることにもなりかねないのに。
    なぜ地上部隊を送らないのかというのも、補給の武器弾薬が敵の手に落ちるのを避けたいというのもあるはず。
    「在日米軍を撤退させる」との発言が、基地反対派諸君を喜ばせているようですが、それはトランプ候補が軍事音痴だからという以外にはありません。
    音痴が歌うとジャイアンのように迷惑千万ですが、軍を指揮すると迷惑では済みません。アメリカ軍は世界を何度も破滅させられる力を持っているのですから。

  12. 「アメリカを再び偉大な国にしたい」トランプは「中等の独裁者を我々が
    追放したり、それを促したりすると、結局、現地は政治的混乱に陥り、
    人道的支援が深刻になると思っている」。そうです。
    Foreign Affairs Report,2016,N0.1pp80より

    一貫性がなく、支離滅裂です。

    さらにロシアのプーチンはシリアから突然撤退し、中東に平和的メッセージを
    送り、「米主導の世界秩序を解体する」のが最終目標で、現地は混乱しています。

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