声優・アナウンサー式!滑舌のトレーニング

アナウンサー訓練

この5月、ニッポン放送に5日間、続いてbayfm(6月4日放送)に1時間。このところラジオの出演が相次ぎました。生れて初めてラジオの番組に出演してみて、自分のあまりの滑舌の悪さに絶望的なくらいショックを受けました。僕がそんな自分のヒドいトークを看過するわけに行かないのは当然です。なにせ長年ディレクターとして、数々の一流の声優さんやアナウンサーさんに「しゃべり」の注文をつけてきた僕としては、強烈な恥辱にまみれた一瞬であったと言っても過言ではないのですから。

二度目のラジオ出演まで1ヶ月もありませんでしたが、僕は短期間に集中トレーニングを自分自身に課すことに決めました。幸いなことに、ノウハウを持ったプロは周囲に大勢いました。あとはそのアドバイスに従って、いかに効率的に訓練するかでした。みなさんもいつなんどき、テレビやラジオの出演者としてトークする立場になるかわかりません。その時のために、今回取り入れた2週間で滑舌を矯正するトレーニング方法をメモしておきましょう。

  1. リスニング:先生に相手をしてもらって、実際にマイクを通してトークを30分ほど録音します。それを客観的に何度も聴きこんで分析しましょう。録音された自分の声は、最初聞きなれず変な声だと感じますが、それが違和感なく自分の本来の声だと納得できるまで繰り返し聴きます。自分では意識していなかったリップノイズ(破裂音の発声時などに出る、クチャっとした音)や、思ったよりも音圧が低くて声が響いていないことにも気づくと思います。これから矯正すべきポイントを理解することから始めましょう。
  2. 腹式呼吸による発声練習:よくお腹から声を出すと言いますが、発声の基本です。「あー」でやります。横隔膜を引き下げて息を下腹部に溜めるイメージで息を吸い、腹筋を使って絞りだすように声を出します。腹式呼吸自体は演劇や歌、スポーツや武道などの際にも練習しますから、できている人は、その息を無駄なく声に使うようにするだけでOKです。僕も腹式呼吸は普段からしているので、すぐに習得できました。とにかく声量が倍ほど大きくなります。
  3. 鏡を見て「あいうえお」:口を大きく開けてハッキリと5つの母音を発声します。口の形が5つそれぞれ大きく変化しているか鏡で確認しましょう。「あ」はとにかく大きく口を開けて、「い」は思いっきり横に引っ張って、「う」は唇を思いっきりすぼませて、といった具合です。普段は目で見て分かるほど口を動かさなくてもしゃべれてしまうので、この際目で見ながら、メリハリのある「あいうえお」を習得しましょう。
  4. 子音抜き発音練習:英語などは子音で聞き分ける言語ですが、日本語は母音が大切です。「よろしくお願いします」を言う前に「おおいうおえあいいあう」とハッキリと発音してみて下さい。次に「よろしくお願いします」と言うと、見違えるようにスムーズで滑舌の良い発声ができていることに気づくはずです。これはどんな言葉にでも使えます。なにか言いよどみそうな時には、あらかじめ母音だけで練習するクセを付けても良いかもしれません。これは外国人に日本語を教えるときに使われるメソッドでもあるそうです。
  5. 早口言葉をゆっくりと;「東京特許許可局」でも「マサチューセッツ州知事」でも構いません。僕は「新人シャンソン歌手による新春シャンソンショー」が好きです。この早口言葉というもの、その名前からして早口でしゃべることに意義があると思っている人が多いのですが、早さを求めて滑舌をごまかしては意味がありません。ゆっくりで全くかまわないので、ハッキリと発声しましょう。
  6. 車窓から見えるものリポート:クルマでドライブしている時や電車に乗っているときなどにします。とにかくしゃべり続ける訓練です。「左前方に赤い屋根の家が見えてきました」などと見たもの、思ったこと、何でもいいので中継レポーター風に間を置かずにしゃべり続けます。10秒以上無言にならないことがルールです。15分続けると決めたら、きっちり15分続けましょう。時計との勝負です。放送局では無音は放送事故につながるので、この訓練を取り入れていますが、実際にやってみると10秒の無言を作らないことがいかに難しいかわかります。やっているうちに、脳みそと口とが直結してきます。トークで噛むのは頭と口が一致しないせいなので、この練習をして一致させておきましょう。電車でやるときは周囲に人がいない時に限りますが。
  7. 直前「よろしくお願いします」:たいていのトークは「おはようございます」「よろしくお願いします」といった挨拶の言葉から始まります。出だしがよければ、あとはスムーズに流れていくもの。逆に出だしでつまづくと、全体に言いよどみがちになります。僕の場合は特に滑舌が悪かったので、2回めのラジオ出演の時は、とにかく最初の「よろしくお願いします」だけはハッキリ発音しようと考えました。直前にトイレに行って「よろしくお願いします」を練習したほどです。

いかがでしたか? これは声優さんやアナウンサーに教えてもらったメソッドを、特別に滑舌の悪い僕向けにアレンジしたものなので、かなりレベルの低いものです。ですが、この方法で2回めのラジオの本番では、トークが崩壊するような最悪の事態だけは避けられました。滑舌の悪いド素人が、滑舌のマシなド素人になっただけですね。本職のアナウンサーのレベルが如何に高いか、想像しただけで気が遠くなりますね。

あとは継続練習ですね。運動神経の問題なのでスポーツと同じ、カラダで覚えるしかありません。またピアノは2日弾かないと下手になる、ともいわれますが、滑舌も同じで、繰り返し続けることによって維持していかなければならないと思います。僕もまたしゃべる機会もありそうだし、がんばろうっと!

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