消息を絶ったマレーシア航空370便の真相(5)

マレーシア航空失踪

行方不明になってから2週間と2日が経過した。マレーシア航空機370便については8日未明の謎の失踪から様々な最新情報が飛び交い、航空評論家などからも様々な可能性が指摘された。その度に僕はブログを更新し、真相究明につながる分析を進めてきたが、情報は断片的で謎は深まるばかりであった。事件なのか事故なのか。それさえ解明できていないのでマスコミは「航空機事故」という表現さえできていない。

事件説については当初、メーデー信号もなく機影を消したことから瞬間的な爆発、そして墜落という見方がされ、テロ説、ハイジャック説さえ飛び交った。が、通信設備であるエーカーズ(ACARS)とトランスポンダが遮断されるのに14分間の時差があること、消息を絶ってから6時間あまり飛行していたことなどが判明したこと、これらにより南シナ海上で瞬間的な爆発があったという線は消えた。

北京へ向かって北上していたMH370便が、突然西へ進路を取って6時間も飛び続けたことから、操縦桿を握っていたザハリ・アフマド・シャー機長のコックピット内での行動に、一気に注目が集まった。乗客の中に操縦能力のあるものは誰一人いないことが判明したからである。乗客によるハイジャックの線は消えた。少なくとも操縦桿を握っていたのはシャー機長か、あるいは自動操縦以外に考えられない。そこでシャー機長自身に疑惑の目が向けられた。本人に何らかの意図があったのか、ハイジャックから自殺説まで様々な憶測が可能であった。

ここまでが僕が前回までのブログで行ってきた推理であるが、前回のブログではもはやミステリー小説の域にまで踏み込んでしまった感がある。そこでもう一度初心に帰り、基本から現実的な分析を試みることにしました。

まず事件なのか事故なのか。ハイジャックのような意図的な犯罪性を伴っていれば事件ですが、機体の異常などによる予想不可能なアクシデントであれば事故ということになります。今までもっぱら事件という観点から分析を進めてきました。その方が乗客乗員の生存に一縷の期待をもつことができるし、シナリオとしても多角的に分析する必要があったからです。今回は救いのない話ですが、あえて事故であった可能性について触れておきます。

事故であったとすれば、まずエーカーズ(ACARS)とトランスポンダが順次機能を失い、コックピットではそれに気づかず管制との連絡を「All rigit, Good night」で締めくくった後、異常に気がついてランカウイ空港へ引き返そうとした。考えられるのは火災による漏電しかありません。火災で真っ先に通信機能が失われるような設計をボーイング社がしていたのかどうかわかりませんが、とにかく先に通信機能が故障し、それからパイロットが気づき、まもなく操縦不能に陥ったと考えられます。

それは瞬時に飛行不能となるような大火災ではなかったのでしょう。6時間も飛行を続けたのだから。そしてその間、機長が操縦桿を握っていたのかどうかはわかりません。操縦桿を左に切り、自動操縦に切り替えるのが精一杯で、まもなく煙に巻かれて意識不明になっていたかもしれません。火災は爆発的なものではなく、煙の充満が主な現象となるようなタイプだったということになります。このような火災が起きる可能性は十分にあります。

ただB777-200のような現代の航空機で、ハングバイワイヤーで構成されている操縦系統が、果たして火災の影響を受けずに操縦または自動操縦で6時間も持ちこたえられたのか、という疑問は残ります。それについては僕は航空機の構造にそれほど詳しくないので、なんとも言えません。ボーイング社の見解が発表されるのを待つばかりです。また火災発生時に、真っ先に通信機能がやられるような設計になっていたのか、それもボーイング社の問題です。

自動操縦については、僕はヨットの経験から直感的に感じることはあります。ヨットの場合は自動操縦に設定しておけば、全員が寝ていても何時間でも航海を続けることができます。電気系統がみなやられたとしても、風が吹こうが波が高かろうが、走り続けます。基本的なスタビライズの構造がそうなっているからです。それをそのまま現代の航空機に当てはめることはできませんが、あながち事故機が長時間の自動飛行を続けたとしても不思議ではない気がするのです。

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