ウクライナの内紛は全世界に飛び火しないと言えるか?

キエフ僕はそんなにロシア情勢に詳しいわけではないですが、素朴に考えてこのウクライナでの政変はただごとでは無い事くらいわかる。この美しいキエフの街を灰の山に変えてしまった内紛は、反政府デモという呼び名ではふさわしくないくらい武装化された軍事衝突に見えた。

それよりもなによりもウクライナという国のおかれている位置。EU圏とロシアに挟まれ、パイプラインも通る要衝だ。そのEU圏+米国がバックについている西部と、ロシアがバックについている東部の勢力同士の衝突だから、それだけでも世界規模の問題だという事が見て取れる。こう書くとまるで東西冷戦が復活してるかのような印象を与えるかもしれないが、あながち穿ったみかたとも言えないだろう。歴史をみればわかることだ。

ぶっちゃけ僕は東西冷戦は終わったりなんかしていないと思っている。ゴルバチョフによるペレストロイカから始まるエリツィンによるソ連崩壊は、東西冷戦の終了と歓迎され、まるでアメリカとロシアが手を組んだかのように世界はお祭り騒ぎだった。だがその実体はソ連が社会主義による経済の破綻により、勝手に崩壊しただけの話ではなかったのか?ソ連はロシアと名前を変えただけで、今や超長期政権のプーチンがロシア皇帝のように君臨している。アメリカとは戦争こそしていないものの仲は悪いままだ。連邦は崩壊したが周辺諸国との関係を見ると、ロシア圏というべき支配力を誇っている。何も変わっていないではないか。

そんなロシアがウクライナを押さえきれなくなってきたのが、今回の内紛の背景にある。このままもしウクライナが分裂することになれば、文字通り米ロ冷戦の火薬庫となるだろう。またもや世界が2つに分かれて第三次世界大戦にさえつながりかねない。もちろん日本を含めアジアにも一瞬で飛び火するだろう。ロシアは国連常任理事国の中でもとりあけ中国と歩調を合わせている。日本はもちろんアメリカ側だから、日米安保条約に基づいて中ロとの戦争が始まる。これは最悪のシナリオだが、ウクライナが分裂すれば瞬時に進行するシナリオでもあるのだ。

悲観的すぎると思われるかもしれないが、ウクライナの問題を対岸の火事だと思っている人は、世界のパワーバランスがこのような緊張関係にあることを思い起こしてほしい。そうすれば遥か遠いウクライナでの内紛が、実は日本にとっても身近なものであることに感じられることでしょう。

2 comments to “ウクライナの内紛は全世界に飛び火しないと言えるか?”
  1. クリミヤ自治共和国をロシアが実効支配するようになれば、そこを母港とするロシアの黒海艦隊を封じ込めるため、ボスポラス海峡の封鎖をトルコを説得して行うかも知れない。ロシアの容認するところでないから、トルコを始点としてNATOヨーロッパとの対立が深まる。
    ロシアはトルコを牽制するために南に接するシリアを支援し、難民をトルコへ追いやりくすぶっていたクルド人問題にも介入する。するとトルコは国内問題で身動きができなくなり、NATOへの協力には腰が引けてくる。
    そこでロシアはウクライナ本国への締め付けを強化する。黒海艦隊は臨戦態勢を継続して脅しに使う。
    ウクライナ本国とそこを通るヨーロッパへのパイプラインを絞れば、NATOの選択肢は、元々のクリミヤ半島の軍事的意味であるロシア黒海艦隊の制圧になる。
    かくして艦隊攻撃が現実化する。
    しかし後方基地たるべきトルコが流動化しているので攻撃継続は難しくなる。時を同じくしてイランへの制裁反対姿勢のロシアの政策が功を奏してイランの親ロシアかが始まる。ここに至ってイスラエルが態度を硬化、イラン各施設への空爆を開始。イランはホルムズ海峡の封鎖を実行する・・・・
    中東から東欧が一気に紛争化する。
    第3次世界大戦のシナリオ。

    • 亭主さん、鋭い分析ですね。
      僕もクリミヤ半島をNATOが守るかロシアが実効支配するかが分かれ目だと思います。
      クリミヤ半島は中国も狙ってますから、今後のプーチンの動きには注目です。

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